北海道の注文住宅で後悔しないためのポイントを解説
目次
1.注文住宅で後悔しないためのポイントとは
注文住宅で後悔しないためのポイントとは、「予算の管理」「間取り選び」「施工品質の担保」です。注文住宅を建築する上で、予算をオーバーすると家計を圧迫する可能性があり、間取りが生活に合わないと不便さを感じ、施工品質が悪いと多額のリフォームや健康被害に遭う可能性もあります。
そのため、注文住宅で後悔しないためには「予算内で、適した間取りを選び、施工品質を担保すること」が重要になります。
2.注文住宅で後悔しやすいポイント
注文住宅で後悔しやすいポイントは、「予算」「間取り」「施工品質」の3つです。
予算
注文住宅における予算は、土地取得費用・建築費用(外構費用)・諸費用の主に3つです。これらの費用を自己資金や住宅ローンを利用しながら予算を立てます。建築前にある程度かかる費用を明確化することに加え、住宅ローンを利用する場合は金利上昇リスクを考えておく必要があります。
間取り
間取りの後悔は主に「必要なスペースがない」「頻度の高い場所でストレスを感じる」ことが原因になります。例えば、キッチン周りの収納が足りない、リビングの日当たりが悪いなどです。間取りでは、利用頻度の高い場所から必要なスペースを確保し、暮らしのイメージの中でストレスがないか考えることが重要です。
施工品質
施工品質が悪い場合、雨漏れや建物の傾き、結露やカビなど将来的に多額のリフォーム費用が掛かるだけではなく、身体にも悪影響をもたらす可能性があります。住宅相談統計年報2024によると、新築住宅のトラブル相談のうち78%は住宅の不具合に関する相談であることがわかっています。
予算、間取り、施工品質のうち、自分たちでコントロールできないものが施工品質です。そのため、口コミや評判を参考にしたり、保証の手厚い会社を選ぶ人が多くいます。実は、一見コントロールできないように思える施工品質も、依頼の仕方一つで施工品質を向上させトラブルを大幅に回避することが可能になります。
3.トラブルが多い住宅の特徴
トラブルが多い住宅の特徴は、建設性能評価を受けていない住宅です。建設性能評価とは、設計時点における住宅性能を指定評価機関が評価した設計性能評価を基に、設計性能評価通りの住宅性能を有しているか、第三者機関による現場検査を通じて評価するものです。
住宅やリフォームに関する相談窓口となっている「公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター」の統計によると、2014年から2023年までに寄せられた新築相談は全国で140,673件あります。この期間建築された新築住宅戸数は約890万戸ですので、66戸に1戸は何らかのトラブルによる相談があることになります。
住宅相談統計年報2024によると、新築相談のうち建設性能評価を受けた住宅の相談割合は9,795件(約7%)となっており、更に瑕疵(かし)保険と建設性能評価を同時に受けた住宅では942件(0.6%)とほとんど相談がありません。
新築住宅のうち、66戸に1戸は何らかのトラブルがあり、建設性能評価を受けると約1,000戸に1戸に減り、更に瑕疵保険に加入し建設性能評価を受けた場合は約10,000戸に1件しか相談がないことになります。つまり、瑕疵保険の加入と建設性能評価の取得がトラブルを回避する上で重要であることが明らかであると言えます。
4.瑕疵(かし)保険の重要性
新築住宅を建築・販売する事業者は、「構造耐力上主要な部分等」と「雨水の侵入を防止する部分」に対して、10年間保証する義務を負います。その資力確保として、「かし保険の加入」か「保証金の供託」のどちらかを行う必要があります。毎年建築される住宅の約半数が供託、約半数が瑕疵保険に加入しています。
瑕疵保険について
瑕疵保険(かしほけん)とは、欠陥に起因して「構造耐力上主要な部分等」と「雨水の侵入を防止する部分」が基本的な性能を満たさない場合に保証されるものです。瑕疵保険は約98%の事業者が利用しており、加入する場合、指定保険法人等による現場検査を必須としています。
保険の検査は保険対象箇所に関わる検査を行いますが、性能の検査は行いません。また、保険に加入した場合、弁護士や建築士への無料相談のほか、原則1万円でトラブル等の紛争処理の依頼を行うことができます。
保証金額は最低2,000万円となっており、国土交通省の資料によると、平成31年までに合計6,564件の事故(事故率0.225%)、平均支払額は約111万円となっています。このことから、かし保険検査を行うだけでも一定の事故を防ぐことができると考えられます。
保証金の供託
保証金の供託は、定められた金額を現金や国際などを法務局の供託所に預ける制度で、資本力のある事業者が主に利用しています。10年間の引き渡し戸数に応じて預けますが、引き渡し戸数が増えるほど1戸あたりの保証金額は少なくなるため、同時に重大な事故が起きた場合保証が受けられない可能性もあります。
供託の場合、現場検査を必要としないため、完了検査まで第三者による検査が入らないことも多くあります。現場検査には、主に「中間検査」と「完了検査」がありますが、一般的な戸建住宅であれば地域によって「中間検査」を必須としていないことが多く、完成時に行う完了検査のみで完成できてしまいます。
そのため、供託している住宅と保険加入している住宅の割合は毎年同じくらいにも関わらず、供託している住宅の方が相談件数が多く、評価住宅においては約10倍も相談件数に開きがあります。他にも、建設性能評価住宅における検査事情と建設性能評価の取得率に原因があるとされています。
5.住宅にもある型式認定
以前、自動車業界における「型式認証違反」があり世間を騒がせました。型式認証は、保安基準への適合性などについて事前に審査を受け、認証された型式の自動車であれば、新規検査時の現車提示が省略される制度であり、同一モデルが大量生産される乗用車に利用されます。この認証過程で不正が発覚し話題となりましたが、実は住宅業界にも同様の制度が存在しており、「住宅型式性能認定」と「型式住宅部分等製造者認証」と呼ばれています。
住宅型式性能認定とは、住宅や住宅の部分について、評価方法基準に規定される性能を有していることをあらかじめ審査し認定するものです。また、型式住宅部分等製造者認証は、認定型式どおりに製造できる者(事業者等)であるかどうかを審査し、認証するものです。
イメージとして、「Aという方法で建築する住宅(もしくは住宅部分)はBという性能を持っているとみなします」というのが住宅型式性能認定、「その型式認定で建築できる会社であることを認めます」というのが型式住宅部分等製造者認証です。
型式認定制度を利用することで、施工品質が安定し、設計時における各種計算や審査を一部省略できることから、着工戸数を大幅に増やすことができるようになります。そのため、保証金の供託と同じく資本力のある事業者が認定を受けている場合がほとんどです。
但し、これがデメリットになることもあります。下記はこの数年で起きた認証制度における違反の一部をまとめたものです。
型式認定は多岐に渡り、適用範囲や仕様部材など細かい決まりがあります。また、住宅においては同じ都道府県でも地域によって基準や制限が異なるため、同じ型式を使用できない場合が多々あります。そのため、自社の型式であっても全てを把握し適切に運用することは容易ではありません。
また、建設性能評価の検査において、本来であれば基礎や耐力壁、断熱など検査項目全てを指定検査機関が検査しますが、住宅型式性能認定を利用して建築する場合、工事監理者である建築士(主に建築会社の建築士)が確認することで、指定機関による検査を大幅に省略することが可能になります。
そのため、同じ建設性能評価を受けた住宅でも供託をする事業者(型式認定を受けている事業者)の方がトラブルに関する相談件数が多いものと考えられています。
6.北海道の住宅はワーストクラス
北海道は、冬の寒さと大雪に耐えられるように、構造や断熱がしっかりとしていると言われています。実際に、平均気温や積雪量などから北海道内でも細かく基準が設定されており、特に断熱性能に関しては日本一と言えるでしょう。一方で、施工不良や欠陥住宅のリスクは日本でワーストクラスと言えるデータがあります。
下記は、一般社団法人住宅性能評価・表示協会、および建築着工統計調査のデータから、都道府県別(2024年に新設された戸建住宅の着工戸数が5,000戸以上の都道府県)の建設性能評価の取得率をまとめたものです。
2024年に新築された戸建住宅のうち、建設性能評価の取得率は全国平均で23%に対し、北海道はたった4.3%しかありません。また、全都道府県を対象にしても1位の青森県(4.1%)に次ぐワースト2位となっており、2022年にはワースト1位(4.4%)と過去一度も10%を超えたことがない状況です。
それだけではなく、設計性能評価と長期優良住宅の取得率においても全国でワーストクラスとなっています。
設計性能評価の取得率はワースト1位(全都道府県の中で43位)、長期優良住宅の取得率はワースト2位(全都道府県の中で35位)となっています。つまり、北海道の住宅は、設計時における第三者機関による性能審査も、建築時における現場検査も日本で一番行っていない地域と言っても過言ではありません。
7.住宅の施工品質を安定させるには
住宅の施工品質を安定させるには、瑕疵保険に加入し、建設性能評価による検査を受け、可能な範囲で型式認定を利用せず建築することです。設計段階から第三者機関による審査を受け、その通りに建築されているか第三者機関による検査を受けた上で、保証金額を担保することが大切です。
設計から完成まで、何千何万という工程を経て建築されるのが住宅です。大手ハウスメーカーも、地場で有名な建築会社も、腕の良い大工さんでも、人間が行うことなのでミスが生じる可能性は必ずあります。そのため、第三者機関をしっかり入れて確認することで施工品質を安定させることに繋がります。