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【衝撃】北海道の住宅がヤバすぎる問題

【衝撃】北海道の住宅がヤバすぎる問題

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突然ですが、物流現場における誤配送の確率ってご存知ですか?
アナログな物流センターでは約3,000件に1件の確率で誤配送が起きており、一般的な指標では約1万件に1件、完全オートーメーションの現場でも約10万件に1件は起きるとされています。

それでは人的ミス(ヒューマンエラー)の発生確率はどうでしょう?
適度な緊張をもって作業しても、人は1,000回に3回はミスをするようです。さらにそのミスを確認作業で見落とす確率も1,000回に3回あるとされ、どれだけ頑張ったとしても人的ミスは100万回に9回は起こるとされています。つまり、人的ミスは確認をしていれば最小で約10万回に1回のミスで抑えられるところ、確認をしないと約300回に1回はミスとして残るということになります。

住宅ではどうでしょうか?
建築現場ではビスを打つだけでも数万本にも及び、その他の作業も含めると途方もない工程を経ること、さらに体を動かして体力を消耗しながらの作業になるためミスの発生確率は当然上がってしまいますよね。

だからこそ人による確認作業が重要なのですが、実は北海道における新築戸建住宅の95%以上は約300回に1回はミスをする方法で建てられている住宅であることをご存知でしょうか?

今回は、そんな「北海道の住宅がヤバすぎる問題」についてお伝えしていきます。

目次

1.社内確認と第三者機関による確認の違い

2.住宅に関する相談件数

3.建設性能評価の取得率

4.北海道の住宅がヤバい理由

1.社内確認と第三者機関による確認の違い

住宅を建てる上で、どの会社も必ず検査・確認作業を行いますがその方法は主に下記の4つに分かれます。

※住宅事業者は、建築物に対する責任を負うための資力確保が義務付けられており「瑕疵保険加入」か「供託金の供託」のどちらかを選ぶことが出来ます。供託金は多額の費用を法務局に預けるため、資力のある大手メーカーなど一部住宅会社が行い、その他多くの事業者は1戸ずつ瑕疵保険に加入しています。

第三者機関による検査は主に下記の3つになります。

◆第三者による検査
法定検査 ⇒ 法令違反がないかの確認
保険検査 ⇒ 構造躯体と雨水侵入部分の確認
性能評価 ⇒ 設計書通りに建築されているか確認

戸建の場合、法定検査は大部分が省略可能となっていますが約90%の住宅事業者(主に中小事業者)は瑕疵保険に加入するため保険の加入検査と同時に行っています。大手メーカーなどは瑕疵保険に加入しないケースも多いので法定検査を単独で行っている場合があります。一方で、建設性能評価は義務ではないため評価を取得していない住宅も多くありますが、取得する場合は設計書通りの仕様であることや細かい施工状況についても確認を行うため、通常の住宅でも検査は合計4回で各2時間以上掛かることが一般的です。

つまり、建設性能評価による検査がない限り第三者による確認は部分的にしか行われないことになります。

次に社内による検査ですが、

◆社内による検査
社内検査 ⇒ 完成後のキズや汚れの確認
現場管理 ⇒ 仕様書通りの規格であることの確認
社内規定の安全・品質基準であることの確認

主に上記2つに分けられます。完成後の社内検査は複数人、場合によっては協力業者などの協力も得ながら行われます。一方で重要な現場管理は基本的に1人で行い、更に他の住宅と掛け持ちで管理することが一般的です。

つまり、第三者検査がなく1人で行う現場管理は人的ミスが起こりやすい状態にあると言えます。

本来であれば、「現場管理」でしっかりと確認をした上で、「法定検査」と「保険検査」で法令違反の有無や建物の主要部を確認し、更に「建設性能評価」で設計書通りに建築されていることを確認することが理想的です。
しかし、現実ではこのような確認を重ねている住宅は少なく、大きなミスに繋がっています。

2.住宅に関する相談件数

第三者による確認の有無がどれだけ重要か実際の数値で見てみましょう。下記は公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理センター(住宅に関する紛争処理や相談窓口業務を行う国土交通大臣指定機関)が発表している資料の一部です。

住宅相談統計年報2023によると、2022年度に着工された新築住宅約89万戸のうち15,585戸で何らかのトラブルや相談があったことがわかります。また、新築等相談(注文・売買等で取得した住宅)とリフォーム相談を合わせると3万件を超える相談があったようです。

住宅は主に下記の4種類に分けています。

①評価住宅(建設性能評価を受けた住宅)
②保険付き住宅(かし保険に加入している住宅)
③保険付き評価住宅(性能評価と保険に加入している住宅)
④評価住宅・保険付き住宅以外(その他の住宅)

第三者機関による確認内容が多い順は「③保険付き評価住宅>①評価住宅>②保険付き住宅>④評価住宅・保険付き住宅以外」で、これらの数字を分析すると驚くべきことがわかります。

下記は、種類別の新築相談の比率です。

確認内容が少ない順から相談件数が多く、相談件数の過半数以上が「評価住宅・保険付き住宅以外」、つまり「現場管理」と「法定検査」のみの住宅です。次に多いのが「保険付き住宅」約38%で「評価住宅」は5%未満、最も確認内容の多い「保険付き評価住宅」は1%にも満たない割合であることから「確認内容の多さ」がとても重要であることがわかります。
また、その比率は築年数が経過する程大きな割合を占め、新築等相談(注文・売買等で取得した住宅)で約70%、リフォーム相談は約98%、全て合わせると約80%は「評価住宅・保険付き住宅以外」の相談になっています。

次に、2022年度の新築住宅の着工戸数から相談の発生率を計算すると下記になります。

「保険付き評価住宅」は約10,000戸に1件の相談に対して、「評価・保険付き住宅以外」は100戸に1件以上と約100倍の発生率となっています。紛争処理センターの資料によると、不具合相談の半数近くが「(屋根や外壁などの)ひび割れ」「雨漏り」「性能不足」と大きな問題であることを考えると、その発生率が100倍も違うのは驚くべきことです。
更に、保険付き住宅と評価住宅でも発生率が1桁違うことを考えると、「建設性能評価」に比べて「現場管理」「法定検査」「保険加入検査」では検査として不十分であることは明らかです。
※補足ですが、同じ評価住宅でも「評価住宅」と「保険付き評価住宅」で約8倍も発生率が異なるのは、瑕疵保険に加入しない住宅会社では型式認定(一定の基準に適合していることを事前に認定する方法)で建築しているケースも多く、建設性能評価における躯体検査など一部検査を省略していることが原因であると考えられます。

これらのことから「建設性能評価の取得」はトラブルを回避する上で重要な役割を果たしていると言えますが、どれくらいの住宅が取得しているのでしょうか。

3.建設性能評価の取得率

下記は2022年度における建設性能評価の取得率です。

全国平均で約25%の取得率に対し、北海道は4%と全国ワーストの取得率であり新築戸建住宅の95%以上は検査が不十分な方法で建てられていることになります。2023年も大きく増えることなく、1~11月までの統計で取得率約5%と最下位争いをしている状況です。※建築着工統計調査都道府県別住宅性能評価書交付状況より算出。本記事掲載時12月分未発表。

取得率が低い理由として「工期」と「コスト」の問題が考えられます。

◆工期
住宅会社は、工期が長くなるとコストが上がり棟数も多く建てられなくなるため工期はなるべく短くなるように設定します。しかし、北海道では雪の状況によって物が届かなかったり、予定していた作業が出来なくなるなど予定通りに工事が進まなくなることは珍しくなく、さらに断熱施工を手厚くするなど寒冷地特有の事情もあるため手間も掛かります。そのような状況で建設性能評価のような厳しい検査が入るとやり直しを求められるなど更に手間が掛かり工期も長くなる恐れがあります。

◆コスト
北海道は物流の関係で運搬コストが他地域よりも掛かること、更に冬の寒さに耐えるため断熱仕様が高いことから建築コストが高くなります。建設性能評価を取得する場合は検査費用が掛かり、仮に検査時に指摘事項があった場合には是正費用等が発生することもあります。

と、それっぽい理由を挙げてみましたが、本当のところは「北海道の住宅会社の意識が低い」と考える方が正しいかもしれません。その根拠として、取得率が低いのは建設性能評価だけではないからです。

4.北海道の住宅がヤバい理由

住宅の評価や認定制度は「設計性能評価・建設性能評価・長期優良住宅・BELS」の主に4種類あります。

設計性能評価:設計時の耐震性や断熱性などの住宅性能を評価したもの。
建設性能評価:設計性能評価で評価した住宅性能を有することを現場検査を通して評価するもの。
長期優良住宅:設計時の耐震性や断熱性などの住宅性能が一定の基準以上であるもの。
BELS評価   :設計時の省エネ性について評価したもの。

2022年度と2023年(一部2023年11月時点)の各評価・認定の取得率は下記になります。

昨年BELS☆5評価(設計時の省エネ性を評価するもので☆5はZEH水準)が全国平均を少し上回りましたが、それ以外は軒並み平均以下であり、設計性能評価と建設性能評価の取得率(約5%)はどちらもワースト争いをしています。

これは単純に取得率が低いということだけではなく、「北海道で新築される戸建住宅の約73%以上は住宅性能が不明で、約95%以上は設計書通りに建てられたか分からない」ことを意味します。

◆約73%以上は住宅性能が不明な理由

設計性能評価や長期優良住宅の認定通知書を交付すること、もしくは取得する旨とその内容を契約書に記載することは「住宅性能を明確にして、その性能を有する住宅を建てます」と約束する行為です。それがないということは、事前にどれだけ優れた住宅性能の説明を受けても、その通りに建てるという約束がないまま契約をしていることになります。
※補足:BELSでは省エネ性以外は不明なため住宅性能という点では不十分です。また、型式認定(一定の基準に適合していることを事前に認定する方法)により住宅性能を示す場合でも建築する住宅の各部位等が全て型式に合致していることが前提で、更にその旨を契約書に記載しておかなければなりません。

つまり、こういった書類がない限り「住宅性能について約束していない状態」であり、実際の住宅性能については不明であると言えます。

◆約95%以上は設計書通りか不明な理由

設計書通りに建築され、住宅性能を有していることを公的に評価する方法は建設性能評価しかありません。

仮に住宅性能について約束したり設計性能評価を取得しても、何らかの事情により仕様等が変更になった場合、その変更により当初の住宅性能を満たさなくなることがあります。変更になったことを第三者が確認・検査を行うことはありませんので、大なり小なり当初とは別の仕様・性能で建築される可能性があるということです。一方、建設性能評価を受ける場合には変更内容を必ず申告する必要があり、変更後の内容を現地で評価を行うため、設計書の内容とその通りに建築されていることが分かる仕組みになっています。また、細かい施工状況(ビスの打ち忘れや打ち方、間隔など)も確認するため、設計書通りの仕様で建てられた上で約束通りの性能を有していると評価されていることになります。

これらが「北海道の住宅がヤバい理由(新築される戸建住宅の約73%以上は住宅性能が不明で、約95%以上は設計書通りに建てられたか分からない)」です。

 

改めてですが、どれだけ頑張って確認をしても人的ミスは約10万回に1回は起こるとされています。
住宅は、数か月間で多くの人が関わり、たくさんの作業を経ながら職人さんが身体を張って建てています。そのため、普通よりも人的ミスが起こりやすい環境にあるのは間違いありません。だからこそ、第三者による多くの確認・検査が重要であることはこれまでの数値からも明らかです。

安心して、快適に暮らしていくためにも「設計性能評価と建設性能評価を取得すること」はとても重要です。

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