注文住宅の期間はどれくらい?土地探しから引き渡しまでの流れと短縮のコツを徹底解説
目次
注文住宅とは
注文住宅とは、建築主が土地を用意し、設計から間取り、内外装の仕様までを自由に決めて建てる住宅のことです。既に完成している建売住宅や仕様がほとんど決まっている規格住宅とは異なり、設計士や工務店と相談しながら「世界にひとつだけの住まい」をつくり上げることができます。
注文住宅のメリットは、自由度の高さと自分たちのライフスタイルやこだわりを反映しやすいことです。一方デメリットは、自由度が高いことで完成までに時間と手間がかかることです。そのため、注文住宅を検討している方は「どれくらいの期間がかかるのか?」という疑問を強く持つ傾向があります。
注文住宅の基本的な流れ
注文住宅の基本的な流れとは、土地の取得(建築地決定)、プランの決定、建築確認申請、工事着工、各種検査、完成・引き渡しです。2025年の法改正で建築確認申請の手続きが長期化していることもあり、土地を取得している状態でも最低6か月は必要です。その他にも、期間が長引いてしまう可能性は高いため、時間的な余裕と計画性が重要です。
1.土地の取得(建築地決定)
2.プラン(間取り・仕様など)の決定
3.建築確認申請
4.着工
5.各種検査
6.完成・引き渡し
建売住宅との違いと期間への影響
建売住宅との違いとは、建築地の決定から着工までの期間が長いことです。建売住宅は、すでに建築計画が決定しており、建築中もしくは建築済である一方で、注文住宅は建築地の決定から始まるため着工まで時間が掛かります。そのため、着工前の時間が完成までの期間にそのまま影響していきます。
注文住宅にかかる全体の期間とは
注文住宅にかかる全体の期間とは、土地探しから始める場合は9か月から2年、土地契約後からは8か月~1年半程度です。建築確認申請や建築期間よりも、土地探しやプラン決定までの時間が完成までの期間に大きな影響を与えます。土地と建築会社探し、土地取得とプラン決定を同時に行うことで期間短縮に繋がります。
各項目の目安
・土地探し:1〜6ヶ月
・建築会社探し:1〜6ヶ月
・土地の取得:1〜3ヶ月
・プランの決定:2〜4ヶ月
・建築確認申請:2ヶ月前後
・建築工事:4〜6ヶ月
・完成検査、引き渡し準備:1ヶ月前後
土地契約から着工までの平均期間
土地契約から着工までの平均期間は、3~5か月間です。土地契約から土地の引き渡しまで、住宅ローンを使う場合は最短でも1か月、その後の建築確認申請で2~3か月かかります。古家付きの土地など解体が必要な場合、解体後に地盤調査を行った上で申請書類を作成する必要があるため、更に時間が掛かる場合があります。
着工から完成までの期間
着工から完成までの期間は、4か月~6か月が一般的です。規格住宅など仕様がある程度決まっている住宅の場合は早い傾向にあり、完全な注文住宅の場合は長期化する傾向にあります。正月やお盆などの長期休暇がある期間、積雪地域における冬は除雪作業が必要など、時期や季節要因によって期間が変わる場合があります。
長期化する要因
注文住宅の完成までの期間が長期化する要因とは、土地と設計が決まらないことです。土地が決まらないと、詳細な設計図や建築費が出せず、建築会社を決めることも難しい場合があります。また、土地が決まっても設計が決まらないと建築確認申請が出せないため、着工までの期間が長期化していきます。
つなぎ融資を使う場合の注意点
つなぎ融資とは、住宅ローン融資の前に、土地の購入費や着工金など住宅の完成前に必要な費用を一時的に立て替えるための融資のことです。通常、つなぎ融資から1年以内に住宅を完成させる必要があります。一般的に、最初のつなぎ融資は土地の代金決済時のため、土地の決済から1年以内に住宅を完成させるスケジュールを組む必要があります。
ステップ別に見る所要期間の目安
ステップ別に見る注文住宅の所用期間の目安は、土地探し1〜6ヶ月、建築会社探し1〜6ヶ月、土地の取得1~3か月、プランの決定2〜4ヶ月、建築確認申請2ヶ月、建築工事4〜6ヶ月、完成検査・引き渡し準備1ヶ月です。実際には、同時進行するステップもあるため、全体としては9か月から2年が目安になります。
土地探しにかかる期間
土地が未取得の場合、土地探しにかかる期間は1〜6ヶ月です。理想の土地がすぐに見つかれば早期に契約できますが、条件が厳しいほど時間がかかります。また、土地が見つかっても理想の建物が建築可能か確認する必要があります。もし半年で土地が見つからない場合、土地探しの条件が厳しい可能性が高いため、条件の見直しが必要です。
土地探しの注意点としては、建築予定の建物と建築会社をある程度決めておくことです。良い土地だと思っても、希望する建物が予算内で建築可能であるか判断しなければ土地を決めることはできません。建築会社をある程度決めておき、予算内で建築可能か相談しながら決めた方が良いでしょう。
建築会社探しにかかる期間
建築会社探しにかかる期間は、1〜6ヶ月です。建築会社探しは、土地探しと同時に行うことで期間短縮に繋がります。予算内で建築できる会社であることを前提に、建築コストと各社の特徴を比較していきます。土地を決定する前に決めることもできますが、遅くとも土地契約前には決めておいた方が良いでしょう。
土地の取得にかかる期間
土地の取得にかかる期間は、1~3か月です。土地の取得の主な方法は売買による取得で、土地売買は基本的に購入申込・売買契約・代金決済の順に行われます。現金購入で既に更地の土地であれば1か月かからずに取得できますが、住宅ローンを使う場合や解体更地渡しなどの場合、一般的には1~3か月かかります。
購入申込
購入申込は、売主に対する土地購入の意思表示と売買条件をまとめた書類です。購入申込書に、希望購入価格や引き渡し条件、契約希望日などを記載して不動産仲介会社に提出します。購入申込の内容を基に交渉を行い、一般的に1~2週間で交渉結果に応じて購入するか判断します。
売買契約
売買契約は、購入申込から1~2週間後に行われることが一般的です。1~2週間の間に、購入申込に基づく交渉や住宅ローンの事前審査を行います。交渉が難航する場合やローン審査がスムーズに進まない場合はもう少し長期化する可能性もあります。
代金決済
代金決済は、売買契約から1~3か月以内に行わることが一般的です。現金決済の場合は、1か月以内でも可能ですが、住宅ローン(つなぎ融資)を利用する場合や解体が必要な場合は、ローン手続きや解体期間によって2~3か月かかることが多くあります。
プランの決定にかかる期間
プランの決定にかかる期間は、2〜4ヶ月です。プランの決定は、間取り・設備・内装・外装・各種仕上げなど多岐に渡ります。建築会社探し中に、ある程度の内容を決めておくことは可能ですが、最終的なプランは土地決定後になります。また、土地契約以降も継続してプラン決定に向けた打ち合わせなどを行っていきます。
建築確認申請にかかる期間
建築確認申請にかかる期間は、2ヶ月前後です。建築確認申請は建築する建物などの建築計画が法律に適合しているか判断するものです。以前までは2週間~1か月程度で建築確認済証が発行されていましたが、法改正により2025年から手続きに時間が掛かるようになりました。現在では、建築確認申請に2か月は見ておかなければいけない状況です。
建築工事にかかる期間
建築工事にかかる期間は、4〜6ヶ月です。建物の規模や構造などによっても工期は変動します。正月やお盆休み、積雪や台風など時期や天候によって変わる場合もあります。特に影響しやすいのは天候で、大型台風や積雪などによって、工事が止まる、物流が滞るなど工期に影響を与えます。
完成検査、引き渡し準備にかかる期間
完成検査、引き渡し準備にかかる期間は、1ヶ月前後です。基本的に建築工事と同時進行するため、別途必要な期間ではありません。この間に、建物完成後の法的検査や引き渡しに必要な住宅ローンの契約、司法書士の手配や火災保険の加入等を行います。
注文住宅の期間を短縮するポイント
注文住宅の期間を短縮するポイントは、プロへ相談し、自分でもスケジュールを管理し、綿密に連絡を取ることです。注文住宅の完成までのプロセスは長く、検討・決定する物事も多くあります。プロに相談しつつ、自分でもスケジュールを管理し、かつ綿密な連絡を取ることで期間の短縮につながります。
プロへの相談
着工までのプロセスで時間を短縮するには、プロへの相談が鍵です。例えば、土地探しを建築会社にも依頼することで、希望する建物の建築可否を含め提案して貰うことができます。また、土地や建物の条件が現実的なものであるかを含め整理してもらうこともできます。プロに依頼すると、着工までに決めておくべきことや行うことを示してくれるため、ある程度相談しておくと期間短縮に繋がります。
スケジュールの管理
スケジュールを把握しておくことも期間短縮に繋がるポイントです。注文住宅の完成までに行うことは多く、時にはあまり検討期間がない中で進めなくてはいけないことも出てきます。スケジュールを把握しておくと先んじて物事を検討できるようになり、短期間で良い選択をすることに繋がります。
綿密な連絡
注文住宅を建築する際に窓口となるのは、基本的に営業担当者です。営業、現場管理、設計は別の人が担当していることがほとんどです。そのため、一つの確認事項でも別の担当者にヒアリングする必要があるなど、時間を要する場合があります。そのため、要望や確認事項は気付いた時点で行うことで無駄な時間を減らすことができます。
遅延の原因と対策
遅延の主な原因は、設計変更・人手不足・天候です。設計変更は、内容によって建築確認申請からやり直すことになるため大幅に遅延します。また、建築確認済証の取得時期が読めないため、取得時期によってすぐに着工できない可能性もあります。さらに、台風や大雪などの天候状況による遅延も考えられます。
設計変更
設計変更は、注文住宅の期間に大きな影響を及ぼします。軽微な変更であれば良いですが、建築確認申請の出し直し、構造・省エネ計算のやり直し、工事を中断するレベルの変更などの場合、完成までの期間が大幅に延びることになります。住宅性能に関する部分は、途中で変更しないことを前提に決めることが大切です。
人手不足
建築確認申請に時間を要していることから、着工時期を明確にできない場合があります。申請が終了してからすぐに着工しようにも、すぐに各業者や人員のスケジュールを抑えられるかは不明です。そのため、申請期間を大幅に取っておくことで遅延対策していくことが重要です。
天候
着工後は、基本的に工期が延びることはありませんが、天候次第で延びる可能性があります。台風の多い8~10月、大雪の可能性がある12~2月は天候によりスケジュール通りに進まない可能性があります。そのため、建築時期がこれらの時期に重なる場合、余裕を持ったスケジュールであるか確認しておきましょう。
よくある質問
注文住宅は、何ヶ月で建てられますか?
注文住宅は、土地探しから始める場合は9か月から2年、土地契約後からは8か月~1年半程で建てられます。建築工事にかかる期間は、4〜6ヶ月で、着工に必要な建築確認申請の手続きは約2か月かかるため、土地を取得し、プランが決まっている状態でも最短6か月は掛かります。
注文住宅はどのくらいで完成しますか?
注文住宅の建築工事にかかる期間は、4〜6ヶ月です。但し、正月やお盆など長期休暇がある場合、8~10月の台風、12~2月の積雪など、時期や天候状況によっても変わります。また、住宅の規模が大きい場合や複雑な施工が伴う場合、半年以上かかる場合もあります。
注文住宅を建てるのに最短でどれくらいかかりますか?
最短で注文住宅を建てられる期間は、6~8か月です。建築確認申請で2か月、建築工事で4〜6ヶ月です。但し、この場合は、土地を既に取得済で間取りや仕様が決まっており、建築確認申請に必要な書類が整っていることが条件です。そのため、実際には土地取得やプラン作製の期間を考慮した方が良いでしょう。
建築期間が長引いた場合、どんなリスクがありますか?
建築期間が長引いた場合のリスクは、主に金銭的な負担です。建築期間が長引くと入居時期も遅れるため、仮住まいや賃貸の家賃が余計に掛かります。また、金利が変動する可能性やつなぎ利息の支払い額が増える可能性があるため、建築期間は余裕を持って設定した方が良いでしょう。
土地がある場合とない場合で期間はどれくらい変わりますか?
土地がある場合とない場合で変わる期間は、約1~3か月です。土地を取得する主な方法は売買ですが、土地の引き渡しまでかかる期間は、住宅ローンを利用する場合、購入申込から契約まで1~2週間、契約から引き渡しまで最短1か月はかかります。また、解体更地渡しの場合は解体期間も考慮する必要があります。