北海道で全館空調は後悔する?選び方・費用・注意点を徹底解説!
目次
全館空調とは
全館空調とは、住宅全体の温度を一括で管理する空調システムです。北海道のような寒冷地では、家の中で部屋ごとの寒暖差を感じることが多く、快適性や健康面での課題が顕在化しやすい傾向にあります。そんな課題を解決する方法の一つが全館空調で、北海道において近年導入が増えています。
部屋ごとの温度差をなくす空調システム
全館空調は、家中どの部屋でも同じような温度環境を保てることが最大の特長です。各部屋ごとにエアコンや冷暖房機器を設置する従来の方法とは異なり、全館空調は天井裏や床下などに張り巡らせたダクトや風道を通じて、1台の空調機器(または複数台の空調機器)で全室に空気を循環させます。
これにより、リビング・廊下・トイレ・洗面所など、通常なら寒さを感じやすい場所でも快適な温度が保たれ、ヒートショックのリスクも低減します。特に冬の寒さが厳しい北海道においては、温度差のない暮らしが健康にも直結します。また、外出時に空調を止める必要もないため、帰宅後すぐに温かさを感じることができます。
一般的なエアコンとの違い
一般的なエアコンと全館空調の違いは、エアコンは設置された部屋だけを冷暖房する一方、全館空調は家全体を冷暖房する点です。また、ルームエアコンは必要に応じて複数台設置し、部屋ごとに温度差が生じますが、全館空調では基本的に1台の設備で温度もほとんど生じさせません。
北海道における全館空調のメリット
北海道における全館空調のメリットは、夏は涼しく冬は暖かく快適で、光熱費も削減できることです。全館空調は、家中を快適な温度に保つことができ、北海道の厳しい寒さや近年の暑さ対策にも役立ちます。また、エアコン1台で冷暖房できることから、全館空調を導入したオール電化住宅の真冬の電気代が2~3万円台で収まるケースも多くあります。
北海道の寒さに強い全館空調
北海道で全館空調を導入する最大のメリットは、冬の圧倒的な快適さです。室温がどの部屋でも均一に保たれることで、リビング・廊下・トイレ・脱衣所などに生じる温度差が解消され、ヒートショックや冷えによる体調不良のリスクが軽減されます。また、冬季は暖房を稼働し続けるため、帰宅時でもすぐに快適な空間で過ごすことができます。
夏場の暑さ対策
北海道で全館空調を導入する他のメリットは、夏の暑さ対策です。北海道は本州と比べ各部屋にエアコンがある家は少ない一方で、近年では最高気温の更新されるなど、北海道でも暑さ対策が必要になっています。全館空調によって、夏は冷房で家中涼しく快適に過ごすことが可能になります。
光熱費の削減
北海道で全館空調を導入すると、冬の暖房費を削減するメリットがあります。北海道の冬の寒さの中、快適な温度まで家中を暖めようとすると光熱費が高くなります。全館空調ではエアコン1台で家中を暖めることが可能で、オール電化住宅で照明、給湯、暖房費の全てを含めた真冬の電気代が2~3万円台で収まる家庭が多くあります。
北海道における全館空調のデメリット
北海道における全館空調のデメリットは、導入費用が比較的高いことです。北海道では床暖房やパネルヒーターの導入が多く、全館空調の導入費用は比較的高いと言えます。特に、専用の冷暖房設備を利用する全館空調システムでは高額になるケースが多いです。但し、エアコンを全室に付ける場合と比較すると大きな差がない場合もあります。
また、北海道に限らずメンテナンス費用と部屋ごとの温度管理が難しい点もデメリットとして挙げられます。
メンテナンス費用が高いシステムがある
全館空調システムによって、メンテナンス費用が高いシステムがあります。具体的には、冷風や温風が通るダクト、フィルター、冷暖房設備の各種点検・清掃・交換費用があります。北海道で提供可能な全館空調の種類は多く、選ぶシステムによって費用は大きく異なるため、メンテナンスコストも考慮したシステム選びが重要になります。
部屋ごとの温度管理が難しい
全館空調は家中を均一の温度に保つことができる一方、部屋ごとの温度管理は難しいです。一部のシステムでは、部屋ごとに一定の範囲内で温度管理が可能なシステムもありますが、極端な温度変化は結露の問題や光熱費に影響を与えます。貯蔵室など温度を常に一定に保つ必要がある場合、該当の部屋のみ個別空調にするなどの方法もあります。
北海道に適した全館空調とは
北海道に適した全館空調とは、床と空気が暖まるシステムです。北海道の冬はとても寒いため、空気だけではなく床も暖かくなるシステムを選ぶことで、足元から暖かさを感じやすくなります。また、足元から暖かさを感じることで適切な温度設定を保つことができ、光熱費を抑えることも可能です。
吹き出し口の位置
全館空調システムは、床や天井、壁の高い位置などに温風や冷風の吹き出し口があります。暖かい空気は上に移動するため、床に吹き出し口をつけることで足元から暖かさを感じることができます。また、吹き出し口が下にあると床下にダクトや風道が通ることになるため、床も温まることにも期待できます。
ダクトの配置
全館空調は、吹き出し口から冷風・温風を吹き出すため、多くの場合ダクトが設置されています。ダクトが吹き出し口に直接繋がっている場合と、床下を冷暖房するために意図的に繋げていない場合があります。床下空間を暖めるための工夫がされているシステムを選ぶことで、足元の暖かさに繋がります。
風量調整
冬の暖房時では、暖かい空気は上に移動するため住宅の2階部分は暖まりやすい傾向にあります。全館空調では、各スペースやフロアなどに送り込む風量を調整できるシステムがあります。冬は1階部分の風量を上げることで、2階との温度差を抑えることができ、温度を上げなくても暖かく感じやすいので光熱費の削減にも繋がります。
北海道ならではの注意点と失敗しないための対策
全館空調における北海道ならではの注意点は、外気温マイナス10℃でも効率良く稼働し光熱費を抑えられるシステム選びです。北海道の冬の気温はマイナス10℃以下になることが普通にあるため、暖房には多大なエネルギーが必要です。そのため、効率よく暖房し光熱費も抑えることができるシステム選びが重要になります。
外気温マイナス10℃でも止まらないシステム選び
北海道の冬は、外気温がマイナス10℃以下になる日も珍しくありません。このような環境では、設備の能力不足や霜取り運転による暖房停止に陥るリスクがあります。そのため、寒冷地仕様の設備が使われており、暖房機能が問題がないことを確認した上でシステムを検討しましょう。
外気温マイナス10℃でも効果のあるシステム選び
全館空調システムの中には、北海道で使用できないシステムが存在するため注意が必要です。また、「寒冷地用の仕様がある」「要求される住宅性能の基準が高い」などもあり、これらの場合は元々の空調効率があまり良くない可能性があるため、外気温マイナス10℃でも問題なく稼働しているか実際に体験しておく方が良いです。
光熱費の確認
近年の住宅設備は優秀で、住宅性能も平均的に向上していることから、一定以上の住宅性能を有していると住宅を暖かくすることは難しいことではありません。但し、それは光熱費を考慮しない場合の話であるため、実際に全館空調を使用した場合の光熱費を確認しておきましょう。
結露とカビ対策
全館空調の中には、結露やカビが発生しやすいシステムも存在します。普段目には見えないダクト内やダクトが通っている床下、階間、小屋裏などのスペースで生じやすくなっています。強い温風や冷風を送らずに、ダクトが通っているスペースもしっかり換気されているシステムを選ぶことで結露とカビ対策になります。
乾燥対策
北海道の冬は気温が低いため、暖かい室内の湿度は自然と下がってしまいます。特に、家中暖かい全館空調では乾燥対策は必要になるため、加湿観葉植物や加湿器を置くなどしましょう。但し、加湿器の設置場所や加湿タイプの選び方によって結露が生じる可能性があるため注意が必要です。
加湿器を温度が下がりやすい窓際や全館空調システムに近づけすぎると、高湿度と温度差によって結露が発生する可能性が高くなります。また、加湿器の種類は主に気化式、加熱式、超音波式、ハイブリッド式(加熱式+気化式もしくは超音波式)がありますが、加熱式と超音波式はなるべく避けた方が良いです。加熱式と超音波式では、気流中に放出された水分が空気に吸収されるまで距離があり、空気に吸収される前に物に当たると水で濡れてしまいます。そのため、設置場所によって結露やカビ、家具や電化製品の劣化を招くリスクがあります。全館空調の場合、気化式もしくはハイブリッド(気化式+加熱式)を選ぶと良いです。
冷暖房設備の位置
北海道は無落雪屋根が主流となっています。三角屋根などの場合は落雪距離を考慮する必要があり、都市部など落雪距離が確保できない土地では無落雪屋根が採用されます。そのため、小屋裏に冷暖房設備を設置するタイプの全館空調では、三角屋根や小屋裏スペースの確保が必要になり、必要な土地面積や建築コストが増加する可能性があります。
北海道の全館空調の導入費用と光熱費
北海道の全館空調の導入費用は150万円~300万円、光熱費は暖房で2~4万円台、冷房で1万円以内です。地域や建物面積、選ぶシステムによって異なりますが、一般的な冷暖房システムと比較しても光熱費は安価と言えます。一方、導入費用は選ぶシステムで大きく異なり、専用設備を使用するシステムは高額になる傾向にあります。
全館空調の導入費用
北海道における全館空調システムの導入費用は、住宅の大きさやシステムの方式によって異なりますが、一般的には150万円~300万円程度が相場です。これには設備本体の価格だけでなく、ダクトや空調設計・施工費用が含まれます。汎用エアコンではなく専用設備を使用するシステムは高い傾向があります。
冬の全館空調の暖房費
北海道における冬の全館空調の暖房費は、1万円から2万円です。最も電気代が高くなる1月には3万円前後かかる場合もあります。オール電化住宅の場合、全館空調を含めた冬の光熱費は2万円台から4万円台で落ち着くことが多くあり、他の暖房設備と比較しても安いと言えます。但し、地域や建物面積によって異なるため注意が必要です。
夏の全館空調の冷房費
北海道における夏の全館空調の冷房費は、5,000円から1万円です。最も電気代が高くなる8月でも1万円かからない場合が多いです。オール電化住宅の場合、全館空調を含めた夏の光熱費は1万円から2万円で落ち着くことが多くあります。但し、地域や建物面積によって異なるため注意が必要です。
定期メンテナンス
システムによりますが、年に1~2回の定期点検が推奨されています。点検時に、配管の清掃やフィルター交換を行う場合もあり、1度の点検で数万円かかることもあります。簡易的な点検で済むシステムであれば、自分で月1~2回程度のフィルター交換や清掃で済む場合もあります。
故障時
故障した場合、システムによって料金は大きく変わります。冷暖房に専用の設備を使用している場合、設備の交換で100万円前後かかることもあります。エアコンのような汎用設備を使用している場合、エアコン代と施工で30~40万円前後で済むこともあります。
高断熱・高気密住宅との相性は?
全館空調と高断熱・高気密住宅との相性は良いです。全館空調を効率的に稼働させるため、一定以上の断熱・気密性能を有していることを条件にしているシステムがほとんどです。一定の性能を満たさない場合、光熱費が上がってしまうことに加え、最悪の場合は冷暖房が機能しないこともあります。
ZEH基準に適合させる重要性
全館空調は小さなエネルギーで家中を快適な温度に保つため、一定以上の断熱性能を有していることを条件にしています。特に多いのが、最低でもZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準に適合する断熱性が求められます。
ZEH基準とは、住宅の断熱性能と設備の省エネ性能を高めたうえで、太陽光発電などの創エネ設備によって、年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロを目指す住宅です。ZEH基準では、外皮平均熱貫流率(UA値)が北海道で0.40W/㎡・K以下と定められており、このレベルの断熱性能があれば、全館空調の導入が可能になります。
気密性能
全館空調の導入には、断熱性能の他に気密性能も重要です。高断熱仕様の家でも、隙間だらけでは全館空調の効果は薄れてしまいます。システムによって異なりますが、気密性能はC値(相当隙間面積)1.0㎠/㎡以下に設定していることが多くあります。
住宅性能が不十分だとどうなるか
断熱・気密性能が不十分な住宅に全館空調を導入してしまうと、空調効率が大きく損なわれ、光熱費が高くなります。また、家中を一定の温度に保つことが難しくなり、各スペースで温度差が大きくなります。これが進行すると結露が発生し、壁内のカビや構造体の劣化を引き起こし、健康被害につながる恐れがあります。
よくある質問
ここでは、北海道で全館空調の導入を検討する方から多く寄せられる質問をまとめました。実際の運用に関わるコストや、生活への影響、メンテナンスの考え方など、具体的な疑問にお答えします。
全館空調の1ヶ月の電気代はいくらですか?
全館空調の1か月の電気代は、暖房費1万円から2万円、冷房費5,000円から1万円です。地域や建物面積などによって異なりますが、他の設備で行う冷暖房費と比べて安くなることが多いです。また、気温が高い地域では冷房費、気温が低い地域では暖房費の方が高くなる傾向にあります。
全館空調でゴキブリは出ますか?
全館空調でゴキブリが出る可能性はありますが、全館空調が原因ではありません。全館空調は外部と接する部分が少ないため、侵入経路はエアコンを複数設置する場合と比べて少ないと言えます。ただし、室温が一定に保たれていることで過ごしやすい環境が整うことから、ゴキブリなどの害虫にとっても居心地の良い空間になる可能性もあります。
北海道にはエアコンがないのはなぜですか?
北海道の住宅でエアコンが普及していない背景には、冷房を必要とする夏の期間が短く、気温もそれほど高くならないという気候特性があります。また、暖房設備が充実していることから、冷暖房兼用のエアコンの必要性が薄かったことが考えられます。但し、近年では夏も暑くなっていることから導入する家庭が増えています。
全館空調とエアコンのどちらがいいですか?
全館空調とエアコンでは、全館空調の方が良いです。全館空調では、エアコン1台で家中を快適な温度に保つことができる一方、エアコンでは限られたスペースの冷暖房しかできません。但し、各スペースの温度管理は個別エアコンの方が優れています。
全館空調は何年くらい持ちますか?
全館空調は、冷暖房設備が10~15年、送風ファンが5~10年くらい持ちます。また、ダクトはカビなどの発生がなければ基本的に交換する必要はありません。全館空調は、システムによって使用する設備や使用環境が大きく異なるため、事前に確認しておきましょう。