【2025年】住宅市場に影響を与えるニュース3選
2025年の住宅市場はどうなる?
2025年の住宅市場は、一つの大きな転換期を迎えることになります。法律の施行、金利情勢、新たな省エネ住宅の創設など近年で一番と言っても良いほど様々なことが変わっていきます。そこで今回は、「2025年に住宅市場に与えるニュース3選」をお伝えしていきます。
省エネ基準適合義務化と4号特例の廃止
省エネ基準適合義務化とは、2025年4月以降に建築する全ての建築物に対し省エネ基準を満たすことを義務付けることです。省エネ基準は「1次エネルギー消費量」と「外皮性能」があり、両方の基準を満たす必要があります。また、建築前の建築確認申請時に、一定の住宅を除きすべての住宅で省エネ性基準への適合性審査が加わります。
1次エネルギー消費量
1次エネルギー消費量とは、冷暖房や換気、照明など建物で消費するエネルギーを熱量(MJ/年)に換算したものです。この評価はBEI(Building Energy Index)で示され、省エネ基準は1.0で、下回る程エネルギー消費量が少なく省エネであることを意味します。
外皮性能
外皮性能とは、建物の内部と外部を隔てる壁や天井などの断熱・気密・遮音・耐久性能を示すものです。住宅の場合、外皮性能は断熱性能と考えられることが一般的です。外皮性能は住宅の外皮性能は、UA値(外皮平均熱貫流率)とηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)により構成され、低いほど断熱性能が高くなります。
省エネ基準を満たしていない住宅の建築コストは上がり、これまで省エネ性の評価や審査をしてこなかった住宅会社の負担が増えるため、住宅会社の中には建築価格を上げざるを得ない会社もあります。但し、現在でも多くの住宅が省エネ基準を満たした住宅であるため、コスト面よりも手続き上の負担が増えることが大きな影響を与えることになります。
4号特例の廃止
4号特例の廃止とは、建築確認・検査で審査省略可能な対象と提出物が変わることです。これまで、一般的な木造2階建て住宅では建築確認申請時に構造関係について審査省略が可能となっていましたが、今後は審査対象となり、構造関係の図書も提出が義務付けられます。これに加え、省エネ性の審査も加わることで審査書類の作成、手続きの長期化が懸念されます。
適合義務化と4号特例廃止により、審査書類を作成することに加え、適合判定の審査件数も増えることになります。そのため、約1か月程度で建築確認や審査を完了し着工できていたものが、審査件数が増えることで審査完了まで1~2か月程度かかることも十分考えられます。住宅会社としては、年間で施工可能な棟数はもちろん、ひと月あたりに施工可能な棟数もある程度決まっているため、年間の建築棟数を確保するためにスケジュール調整や施工可能な棟数を増やす必要があります。そのため、着工時期を変更したり、通常施工を任せていない職人さんに依頼するなど建築主にとって不利益な状況を招きかねません。
住宅性能評価や長期優良住宅の取得などを以前から行っており、省エネ計算や手続きに慣れている住宅会社選びが重要になります。
金利情勢
昨年から引き続き、住宅ローンの金利は上がる可能性があると言えます。住宅ローンの金利が上がると、「借入可能額の減少」「支払額の増加」「予算の低下」といった影響があるため、住宅を取得しにくい状況になります。
金利が上がる要因
金利を決める上で大きな要素として挙げられているのが、国内では賃金・サービス価格・個人消費の動き、海外ではアメリカ経済と政策運営になります。
①アメリカ経済の動き
現在、特に大きいものとしてアメリカ経済と政策運営が挙げられますが、新たに始まるトランプ政権の動きと影響が現時点では不確実なものであるため、金利がどのタイミングでどの程度上がるのか不透明な状態です。
トランプ政権では、関税や移民対策、国内の低コストエネルギーを掲げており、これがアメリカのインフレ(物価高)を招くとされています。インフレは限定的であるという見方もある一方、大きな影響を与えるとの見方もあります。このインフレが大きなものになれば、円安が加速する可能性もあり、金利を上げざるを得ない状況になります。
②国内の動き
日本銀行では、経済・物価の見通しは概ね見通しに沿って推移しており、総合的な判断で金利の調整を考えると昨年12月の記者会見で示しています。但し、春闘による賃上げがどの程度になるかもう少し情報が欲しいということ、さらにトランプ政権の動きやそれに対応する政府の動き(関税など)などが不確実なことから、情報を集め適切に判断していくとしています。このため、すぐに金利が大幅に上がるとは考えにくいですが、少なくとも下がる可能性はほとんどないと考えた方が良さそうです。
いずれにしても上がる可能性が高いことから、早いうちに住宅ローンの審査や申込を行い、より良い条件で住宅を持つ方が良いと思われます。
GX志向型住宅の創設
昨年末に発表された、子育てグリーン住宅支援事業(主に住宅取得者を対象とした補助事業)が2025年春頃から開始されます。この中で、新たな省エネ住宅の区分として「GX志向型住宅」が設けられました。高い省エネ性を持つ「ZEH水準住宅」や「長期優良住宅」、さらに高い省エネ性を持つ「GX志向型住宅」の取得支援として、住宅の区分に応じて一定の補助額を交付する事業として注目を集めています。
補助額と主な要件
・GX志向型住宅(160万円)
GX志向型住宅は、ZEH水準住宅の省エネ性を更に高めており、断熱等級6以上、1次エネルギー消費量削減率を35%以上としています。また、再エネ設備を備えることが必須で、再エネ設備を含めた1次エネルギー消費量削減率を100%以上としています。※寒冷地や都市部狭小地等の場合は75%以上。
・長期優良住宅(80万円)
長期優良住宅では、ZEH水準の省エネ性に加え、耐震等級・劣化対策等級・維持管理対策等級をそれぞれ3としています。※壁量計算を行う場合は耐震等級3、許容応力度計算等の場合は等級2以上。
・ZEH水準住宅(60万円)
ZEH水準住宅は基本となる省エネ基準であり、断熱等級5以上、1次エネルギー消費量を太陽光などの再エネ設備を含めず20%以上削減する住宅としています。
他にも細かな要件はありますが、数年前から比べると住宅取得に係る補助金の要件も金額も大きく変わってきています。
2025年は住宅市場にとって大きな転換期となりそうです。住宅会社だけではなく、自らも情報収集を行い、理想的なお家づくりをすることが大切ですね!