札幌で理想の注文住宅を建てるためには、注文住宅の基本について知っておくことはもちろん、札幌ならではの注意点も把握しておく必要があります。人口約200万人、年間積雪量400cm以上と世界でも類を見ない特別な地域だからこそ知っておくべきポイントについて解説していきます。
目次
1.注文住宅とは
2.注文住宅のメリット・デメリット
3.札幌の注文住宅の費用相場と内訳
4.札幌特有の気候に合った注文住宅の設計
5.札幌に適したデザインと間取り
6.注文住宅の建築の流れと必要な期間
7.札幌で利用できる補助金・住宅ローンなど
8.よくある質問
注文住宅とは
注文住宅とは、施主が自身の希望やライフスタイルに合わせて自由に設計できる住宅のことです。既に設計が決まっている建売住宅とは異なり、家族構成や趣味、将来のライフプランに応じた住まいを実現することができます。設計やデザインの自由度が高い反面、計画や予算管理が重要な点が特徴です。
注文住宅では、間取り、建材、設備、外観デザインなど、細部まで施主が選ぶことができ、理想の住まいを形にするための多くの選択肢が用意されています。一方で、自由度が高いため、その分だけ打ち合わせの回数や建築期間も長くなりがちです。
札幌という地域においては、特有の寒冷な気候と大都市であるが故の土地事情に対応した設計が求められます。
注文住宅のメリット・デメリット
建売住宅との比較
注文住宅は、建売住宅と比べて施主の希望やライフスタイルに合わせて設計できることがメリットです。間取りやデザイン、建材や住宅性能の選定など、自由度が非常に高いことが大きな魅力で、理想のお家を実現させることができます。また、建築過程を見ることができ、必要に応じて第三者検査を入れるなど安心できる要素もあります。
一方で、注文住宅は建売住宅とは異なり、住み始めるまでに時間が掛かり、費用も比較的高くなることがデメリットとして挙げられます。建売住宅では、建築会社の計画に沿って建築されるため、完成済の場合はすぐに入居でき、建築中や建築前でも既に計画されている分注文住宅より早く入居できます。また、同じ地域で複数同時に建築したり、コスト抑えた建材を使用するなど建築費を抑えている場合が多く、長期間売れていない物件の場合は値下げを行うことも多いため、注文住宅よりも安く手に入れることもできます。
中古住宅との比較
注文住宅は、中古住宅と比べて施主の希望を叶えるだけでなく、住宅性能を決められることがメリットです。中古住宅では、建築時期によって現在の法律に適合しない住宅性能になっていることも多く、建築当時の設計図書がないこと、図書があっても設計通りに建築されたか不明な住宅も多くあります。その点において、住宅性能は最新の基準をクリアし、更に性能を良くすることも可能で、必要に応じて第三者機関による検査も行えるため圧倒的に安心できます。
一方で、中古住宅は注文住宅に比べて価格を抑えることができ、更に貴重な立地に住める可能性があります。中心地や人気の地域では、新しく住宅を建てられる土地は少なく、土地があっても価格が高く注文住宅を建てるには多くの予算が必要です。その点、中古住宅はコストを抑えながら人気の地域で暮らせる可能性が高いと言えます。
札幌の気候に適した注文住宅のメリット
札幌のような寒冷地では、注文住宅のメリットがさらに顕著になります。まず、寒冷地特有の厳しい冬を快適に過ごすためには、高断熱・高気密の仕様が必須です。注文住宅では、これらの性能を施主の要望に応じて最適な形で取り入れることができるため、快適でエネルギー効率の良い住まいを実現することが可能です。
例えば、札幌の冬に対応するために、壁や床などに高性能な断熱材を使用したり、窓をトリプルガラスにするなどの仕様を自由に選べます。また、床暖房や全館空調など、冷暖房設備も施主の好みに合わせてカスタマイズでき、これにより光熱費の削減と快適性の向上が期待できます。
他にも、雪の多い地域であることを考慮して、屋根の形状や勾配を雪下ろししやすいものにしたり、カーポートや除雪機を入れる物置スペースを設置するなど、札幌ならではの特別な仕様を組み込むことができます。これらの対策により、冬の生活の負担を軽減し、安全で快適な住まいを実現できるのが注文住宅の大きなメリットです。
札幌の注文住宅の費用相場と内訳
札幌の注文住宅の費用相場は、地下鉄徒歩20分圏内で5,500万円以上、JR徒歩圏内で4,500万円~5,500万円、駅徒歩圏外で4,500万円以下です。建物や土地の大きさ、立地環境やデザイン、選ぶ建築会社など様々な要素で変わるため、予算に合わせた検討が必要になります。また、この他に外構費なども必要に応じて掛かってきます。
土地代・建築費・諸費用の内訳
札幌で注文住宅を建てる際の費用には、土地代、建築費、諸費用の3つが主な構成要素として含まれます。
1.土地代
札幌の土地は、地下鉄駅徒歩20分圏内で2,000万円以上、JRで1,000~2,000万円、駅徒歩圏外だと1,000万円以下が相場です。土地面積や立地環境、街中に近いなど金額の変動はありますが、おおよそこのようなイメージです。
公益財団法人東日本不動産流通機構のデータによると、2024年の北海道の土地成約価格の平均は1,872万円で、約70%以上が2,000万円以下で成約となっています。2023年までは高止まりしていましたが、2024年に入り1,000万円以下、2,000万円以下の土地が増えてきています。
2.建築費
札幌における注文住宅の建築費は、1坪あたり約94万円(税込)です。これは、建物本体と設備の費用を合わせた金額で、カーポートを含む外構費は含んでいません。2024年の建物着工統計調査から計算したもので、調査対象は北海道の注文住宅ですが、大部分は札幌の注文住宅のため、札幌でも同程度の相場であると考えた方が良いでしょう。
また、統計調査によると、平均建物面積は117㎡(35.4坪)、平均価格が3,355万円(税込)となっていることから、大きさなど様々な要素で変わるものの、札幌における建築費の目安は3,300万円と考えても良いかもしれません。
3.諸費用について
諸費用は、建築や土地購入に伴う費用です。具体的には、建築確認申請の費用や税金、住宅ローンの手数料やつなぎ融資の利息、登記費用や土地の仲介手数料などが含まれます。少し前までは、諸費用は建築費の10~20%程度とされていましたが、建築費が高騰した現在では当てはまらず、大体200~300万円の範囲でおさまります。
また、付帯工事費(杭打ち工事や上下水配管の引き込みなど)を諸費用として記載する会社もありますが、厳密には建築費に含まれるものですので、建築費として考えた方が良いでしょう。付帯工事費は、購入する土地や建築する建物によって大きく異なるため、土地と会社選びも重要になります。
4.その他の費用について
建築費として含む場合もありますが、カーポートを含む外構費や太陽光パネル、蓄電池などの省エネ設備を導入する場合も費用が掛かります。費用は、施工範囲や導入設備によって異なります。特に外構は金額の変動が大きいため、検討する場合は具体的に検討しておき予算に組み込んだ方が良いでしょう。
予算を抑えるためのポイント
1.土地選び
札幌で注文住宅を建てる際に予算を抑えるためのポイントとして、まずは土地の選び方が重要です。利便性と価格のバランスを考え、市街地から少し離れた場所であれば土地代を抑えることが可能です。また、既に整地されている土地や地域を選ぶことで、整地費用や上下水配管の引き込み費用を削減することができます。
この数年で札幌の土地価格は急激に上昇しましたが、地域によって少しずつ価格は下がり始めています。実際に販売されている価格から、交渉によって土地価格を大幅に抑えることも可能なため、積極的に交渉を行うことも予算を抑える手段の一つです。
2.会社選び
札幌の寒い冬を乗り越えるための「断熱性能」「気密性」「暖房設備」は各社で異なるため、会社選びによって予算を抑えることも可能です。例えば、「断熱等級5、C値(相当隙間面積1.0㎠/㎡)、全室床暖房」という希望にした場合、ローコスト住宅からアップグレードするのと初めから標準の会社を選ぶのでは、後者の方が予算を抑えられる可能性があります。
住宅性能については、全国共通のルールで等級や数値で示すことが可能になっているため、自分たちが必要とする住宅性能を事前に調べ、性能を揃えた上で比較することで、予算を抑えることが可能になる場合もあります。
3.仕様選びと間取り
建材や設備の選び方もコスト削減に大きく影響します。例えば、標準仕様の建材を使用し、必要な部分だけグレードを上げることで、全体のコストを抑えながらも快適な住まいを実現することが可能です。さらに、家全体の間取りやデザインをシンプルにし、施工面積や工数を抑えて建築費用を削減することができます。また、住宅性能を高め月々の光熱費を抑えることで、月々の支払いを抑えることも可能になります。
札幌特有の気候に合った注文住宅の設計
札幌に適した住宅性能
札幌に適した住宅性能は、高い断熱性と気密性を兼ね備え、積雪と重い断熱材を考慮した耐震性です。札幌の冬は寒く積雪もあり、近年では夏も暑いため、夏と冬を快適にするための断熱性と気密性の確保が必要です。更に、断熱性を高める分重くなる建物と積雪の荷重を考慮した耐震性も必要になってきます。
1.断熱性能
札幌の住宅に適した断熱性能は、最低でも断熱等級5級、理想は等級6以上です。住宅性能は、法律で定められた基準により等級で示され、断熱等級は1(最低)~7(最高)です。2025年から等級1~3は廃止、2030年までに等級4が廃止になり、等級5以上が義務化されることを意味します。
国土交通省資料:住宅における外皮性能より引用
例えば、札幌において断熱等級4から5にするには、複層ガラス(ペアガラス)からトリプルガラスにする程度でも可能ですが、等級6ではガラスの変更に加えて屋内外で断熱が必要となります。断熱等級は、主な指標としてUA値(室内と外の気温差1℃あたりどれくらいの熱が室内から外に逃げるかを示すもの)があります。
等級7:2050年までの長期誘導目標(UA値0.20)
等級6:当面の目標数値(UA値0.28)
等級5:ZEH水準(UA値0.40)
等級4:省エネ基準(UA値0.46)
※等級3以下は2025年から廃止、等級4は2030年までに廃止されます。
2024年1月から8月までに北海道で新築された戸建住宅のうち、約53%は等級6、約75%は等級5の断熱性能を有していることが、住宅着工統計や住宅性能評価・表示協会のデータから判明しています。
等級7は製品等の技術革新を促すために設定された高い数値目標であり、現時点で達成するにはコストの大幅な上昇や間取り、窓の数やサイズなど各種制限が前提となっています。2019年に実施された札幌版次世代住宅に関する調査では等級4と等級6の建築コストの差は坪単価4万円となっており、補助金や住宅ローン控除、断熱性能向上による光熱費の軽減額などを考えると、一般的な広さの住宅であれば坪単価4万円を掛けても等級6を取得した方が金銭的にお得になる可能性が非常に高く、更に快適に過ごすことが可能となります。このことから、最低でも断熱等級5、理想は等級6以上が札幌の住宅に適した断熱性能と言えます。
2.耐震性能
札幌の住宅に適した耐震性能は、許容応力度計算による耐震等級2、もしくは性能表示計算の耐震等級3です。耐震等級は1から最高等級の3までありますが、計算方法はいくつか種類が存在します。計算方法は、主に「壁量計算」「性能表示計算」「許容応力度計算」の3つで、許容応力度計算が最も細かい計算を行います。
a.壁量計算
壁量計算とは、建物にかかる地震力や風圧力に対して必要な耐力壁の量を計算し、その量を満たしているかどうかを確認するものです。壁量計算は仕様規定とも呼ばれ、木造2階建て以下の住宅のみ利用できる簡易計算であり、最低限満たすべき性能のため耐震等級は1になります。
b.性能表示計算
性能表示計算とは、壁量計算に加えて「床・屋根倍率の確認」と「床倍率に応じた横架材接合部の倍率」を検証する計算方法です。この計算方法によって耐震等級2と3を取得することが可能ですが、簡易計算であり構造計算とは異なります。
c.許容応力度計算
許容応力度計算とは、柱や梁、基礎など全ての部材が許容できる応力(地震や台風などに対して耐えられる負荷)を検証する計算方法です。この計算方法によって耐震等級2と3を取得することが可能で、一般的に構造計算と呼ばれるものです。
長期優良住宅(長期にわたって良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅)の認定には、性能表示計算による耐震等級3、もしくは許容応力度計算による耐震等級2が必須となっています。許容応力度計算は、全ての部材と地震や台風などを考慮した構造計算であるため、耐震等級2でも認められています。
札幌の場合、多雪地域のため積もる雪の重さ(積雪荷重)も考慮して計算されます。地球温暖化により降雪量は減少すると見られていますが、一方で湿った重たい雪に変わり、1日に降る降雪量は増えるとの見方もあります。長期間の気候変動も見据え、性能表示計算で等級3、可能なら許容応力度計算で等級2以上が望ましいです。
暖房設備の選び方
札幌に適した暖房設備は、全館空調と全室床暖房です。どちらも24時間稼働でき、どの部屋でも一定の温度を保つことが可能なため快適で、更に結露やカビの発生を抑えることにも繋がります。特に全館空調の場合は光熱費を抑え、冷房にも使用することが出来るのでおすすめです。
札幌の暖房選びで重要なのは、光熱費と暖房効果のバランスです。どの暖房機器でもある程度暖かくすることは可能ですが、長時間稼働させたり設定温度を高くすると光熱費が高くなります。反対に、暖房の時間を短くしたり温度設定を低く設定すると快適さに欠けます。そのため、光熱費を抑えつつ長時間快適に保つことができる設備選びが重要です。
札幌に適したデザインと間取り
札幌の住宅デザインとその特徴
最近の札幌における住宅デザインにはいくつか特徴があります。
バルコニー:バルコニーは設置しない住宅が増えています。冬期間は雪の兼ね合いで使用できないことが多く、必要に応じて雪下ろしも必要になる上にコストが掛かるためです。
窓:窓の数は少なく、小さいものを設置する住宅が増えています。窓などの開口部が大きいと熱の損失が大きく断熱に影響するためです。
屋根:屋根は無落雪屋根(見た目が平らな屋根)が多いです。これは三角屋根のように雪を落とせる程の土地面積を確保しにくいことが原因です。
外壁:サイディングかガルバリウムが多いです。多様なデザインと凍害への対応などからタイルやモルタルよりも選ばれています。
外構:アスファルト舗装とカーポート&物置が多いです。凍害とコストの問題からコンクリートよりもアスファルト舗装が選ばれ、土地面積や隣地建物との距離の兼ね合いで車庫よりもカーポートと物置のセットが多く選ばれています。
内装は人によって好みが異なりますが、外壁や外構などはある程度傾向があります。外観で特徴を出す場合、これらのことを意識すると近隣の住宅と違いを出せるようになります。
家族構成に応じた間取りの選び方
注文住宅の間取りは、家族構成やライフステージに合わせて設計することが大切です。子供が小さいうちはリビングを中心にした間取りが人気で、親子が自然に顔を合わせやすい環境が整います。また、子供部屋は将来の独立を見据え、間仕切りで柔軟に変更できる構造にするのが理想的です。
夫婦二人暮らしやシニア世代には、ワンフロアで生活が完結する平屋や、バリアフリー設計が向いています。将来的な介護の可能性を考慮し、手すりの設置や段差の解消といった工夫も重要です。家族構成の変化に対応できる間取り設計を行うことで、長く快適に暮らせる住まいを実現できます。
札幌に適した間取りの工夫
札幌のような寒冷地では、快適な生活のために間取りにも特別な工夫が求められます。例えば、札幌は冬は北西から吹く風が最も多いため、北西に窓を設置すると冷えた風の影響で温度が下がりやすく、他の部屋に比べて結露が発生しやすい環境になります。そのため、北西方向に窓を設置しない、窓を小さくするなど工夫が必要です。
また、暖房効率を高める方法として、部屋の仕切りを多くしたり吹抜けをつくらない方が良いと言われていますが、必ずしもそうではありません。温かい空気は上に溜まり、熱の損失もあるためこのように言われていますが、高断熱・高気密の住宅で、全館空調のような家全体を均一に暖房する設備を使用することで問題なくなります。
注文住宅の建築の流れと必要な期間
注文住宅の各ステップと概要
注文住宅の建築の流れは、おおまかに6つのステップで進行します。
1.建築会社選び~契約
まずは建築会社選びを行います。要望の整理やプランニングを行い、ライフスタイルや予算などの条件に合った建築会社を決定、もしくは候補を絞ります。次に土地を探し、具体的な候補地が決まったら具体的なプランや設備、建材などを選定し、予算などの条件を満たしていることを確認して建築会社を決定し、土地契約後に契約をします。建築会社選びまでの期間は、人によって異なり、また土地探しの進捗も影響します。早い人で1~2か月、長い場合は1年以上かかることもあります。
2.各種申請~着工
土地契約と請負契約が終わると、取り決めたプランに沿って建築会社が各種申請を行います。住宅を建てる場合に必ず必要な建築確認申請をはじめ、性能を評価するための設計性能評価や長期優良住宅、BELSなど各種評価・認定に関わる申請を行います。これらの審査や評価が全て完了した後に着工します。建築確認申請は2週間~1か月程で完了しますが、他の評価や認定に関する申請がある場合は更に期間が必要な場合もあります。
3.各種検査~完成
着工から完成まで、一般的に3か月から6か月程度かかります。建物の大きさや着工時期、建築会社によって異なります。着工後は、工事完了までの間に社内検査はどの会社も行いますが、札幌では第三者機関による検査は入らない場合もあります。これは建築会社などによって異なるため、必ず確認しておくことをおすすめします。
建築プロセス中の注意点
1.冬期間の施工について
札幌において、冬期間の施工は可能です。但し、大雪などの天候状況によって除雪、物流の遅れなど予定通りに進まない可能性もある点には留意が必要です。また、施工中の暖房使用や基礎工事の追加工程、除排雪など追加費用が発生する可能性があります。
2.現場検査
施工中の現場検査は、会社や建築の依頼方法によって大きく異なります。札幌の場合、一般的な2階建て木造住宅では工事完了後の1回の検査だけで完成する場合もあります。下記は主な現場検査の内容です。
a.中間検査
中間検査とは、施工において特定の工程が終了した段階で、建築基準法や関係規定に適合しているかどうかを検査するものです。一般的な木造2階建ての戸建住宅の場合、全国一律に中間検査の実施を義務付けておらず、札幌も同様に検査を義務付けていません。
b.完了検査
完了検査とは、建築工事が完了した時に、建物の構造や設備、敷地などが建築基準法や関連法規に適合しているかどうか、建築主事や指定確認検査機関の検査を受けることです。これは法律で定められた検査のため、工事完了後に必ず行う必要があります。
c.瑕疵(かし)保険加入検査
瑕疵保険加入検査とは、住宅の建築中や完成後に保険会社が実施する検査で、住宅に重大な欠陥(瑕疵)がないかを確認するためのものです。この検査は、お家の引き渡し後に、万が一瑕疵が見つかった際の修繕費用を保証する「住宅瑕疵担保責任保険」に加入するために必須の検査です。施工中に2回検査することが一般的です。
建築会社は、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について10年間の瑕疵担保責任を負うことが義務付けられています。また、責任を負うための資力確保も義務付けられており、「保険加入」か「供託金の供託」のどちらかを講じる必要があります。90%以上の会社が保険加入を選択していますが、資本力のある会社などでは供託(お金を法務局などに預けること)で資力確保としています。そのため、保険に加入しない場合は保険検査を行いません。
d.建設性能評価
建設性能評価とは、設計住宅性能評価を受けた住宅の性能が、確実に達成されているか否かを施工中の検査にて登録検査機関が確認するものです。(設計性能評価とは、国土交通大臣の登録を受けた第三者評価機関(登録検査機関)が全国共通ルールのもと、設計時における住宅の性能を公平な立場で評価するものです。)
建設性能評価は、一般的に施工中から完成まで4回検査が入り、住宅性能を確認する唯一の第三者による任意検査です。設計時に指定した建材等が使用されていることを確認するだけではなく、施工方法に問題ないかも確認します。札幌を含む北海道は、建設性能評価の実施率が全国ワーストクラスで、2023年に建てられた新築戸建住宅のうち約5%の住宅しか実施していません。(全国ワースト2位、2022年は全国ワースト)
このように、第三者機関による検査は少なくて工事完了後の1回、ほとんどの場合(保険加入の場合)で3回とかなり少なくなります。札幌のような寒冷地では、特に断熱性能に欠陥や施工ミスがあると快適性を大きく損なうため、可能であれば建設性能評価まで実施した方が良いでしょう。
札幌で利用できる補助金・住宅ローンなど
補助金
札幌市が設定した「札幌版次世代住宅基準」に適合する住宅を新築する場合、等級に応じて最大220万円の補助が受けられます。一番基準が高い「プラチナ」等級が最も優遇され、ゴールドやシルバー等級も対象です。基準は、高気密・高断熱・省エネ性に加え、太陽光発電設備などのサスティナブル要件を満たす必要があります。
住宅ローン
札幌の場合、一定の省エネ性能を満たすことにより住宅ローンの金利を引き下げる銀行があります。引き下げ幅は0.2%前後となっており、省エネ性を満たすための初期コストを考慮しても、長期で住宅ローンを組む場合はお得になる可能性があります。
また札幌では、フラット35の金利引き下げメニューに加えて地域連携型の金利引き下げを利用することが可能です。但し、札幌版次世代住宅補助制度を利用する必要があります。
その他
住宅購入時には、税制優遇措置を活用することで、コストを抑えられます。例えば、住宅ローン減税制度では、住宅ローンの残高に応じて所得税や住民税の一部が控除されます。また、札幌に限らず、国や省庁などが連携して行う補助事業もあるため、要件を確認して活用できる可能性があります。
よくある質問
札幌の注文住宅の相場は?
札幌で注文住宅を建てる場合、建物の坪単価は約94万円(税込)が一般的な目安です。ただし、仕様や設備のグレード、土地の価格によって最終的な費用は大きく変動します。延床面積や希望するデザインの複雑さも、総費用に影響を与える要因です。
札幌の土地の相場は?
札幌の土地価格はエリアによって異なりますが、地下鉄駅徒歩20分圏内で2,000万円以上、JRで1,000~2,000万円、駅徒歩圏外だと1,000万円以下が相場です。交通アクセスの良い場所や商業エリアに近い地域は高額になりやすく、住宅地として人気の高いエリアでも価格が上昇傾向にあります。
注文住宅と建売どちらが安い?
一般的に、注文住宅は建売住宅よりも割高になる傾向があります。注文住宅は自由度が高く、設備やデザインにこだわりを反映できる反面、その分コストがかかります。一方、建売住宅は大量生産の利点を活かし、比較的安価に提供されています。ただし、希望通りの住まいを実現するためには、注文住宅のほうが適している場合があります。
注文住宅の頭金は?
注文住宅を建てる際の頭金は、一般的に建築価格の10%〜20%程度が目安とされていますが、依然として低金利の現在はゼロでも珍しくありません。ただし、住宅ローンの組み方や金融機関によっては、頭金があるとお得になる場合もあります。余裕を持った資金計画を立てることが大切です。
注文住宅の建築に適した時期は?
注文住宅の建築に適した時期は、天候による影響が少ない春や秋と言われています。但し、夏や冬に建築することは当然あり、北海道のような寒冷地の場合でも、真冬に施工されています。時期に関わらず、適した施工を行う建築業者選びが重要になります。
お問い合わせ
▼▼▼▼▼
LINEでお問い合わせはこちら