全館空調でゴキブリが出る?侵入原因と防ぐための対策ガイド
全館空調では、ゴキブリが出る可能性があります。但し、一般的な住宅よりも出にくいのが特徴です。全館空調とゴキブリの関係、侵入原因や経路、予防策を詳しく解説します。また、ゴキブリを防ぐための実際の体験談や成功事例も紹介していきます。
全館空調でゴキブリは出る?
全館空調でゴキブリが出る可能性はありますが、全館空調が原因ではありません。むしろ一般的な全館空調の場合、ゴキブリが出にくい構造であると言えます。これは、室内温度を一定に保ち、常に空気を循環させ湿度を抑えることができるシステムと、侵入経路が一般的な住宅よりも少ないことが理由です。
ゴキブリが家に出る理由
ゴキブリが家に出る理由は、外部からの侵入してくるか、建築時に元々居た、人や物と一緒に入ってくるかのいずれかです。外部からの侵入は、家の隙間や外部と接続している設備からです。建築時に元々いたのが出てくる可能性もあります。また、荷物(特に配達の段ボールなど)と一緒に入ってくるケースもあります。全館空調と関連する要素としては、外部と接続している設備が挙げられます。
全館空調とは
全館空調とは、住宅全体を一括して快適な温度に保つ空調システムです。各部屋ごとにエアコンを設置するのではなく、1つの空調設備で家全体の温度を管理するため、居住空間全体が快適な環境に保たれます。全館空調は、エネルギー消費を抑えながら快適に過ごすことができるため、特に新築住宅に採用されることが増えています。
全館空調の仕組みと特徴
全館空調は、ダクトや壁の間などの風道を通して空気を家中に供給し、各部屋の温度を均一に保ちます。一般的なシステムは、フィルターを通したきれいな空気を冷暖房してから送り出すため、クリーンな空気環境も実現します。各部屋に個別の温度調整が可能なタイプもありますが、基本的には家全体を同じ温度で保つ設計です。
全館空調の種類
全館空調には大きく2つのタイプがあり、エアコンのように空気を冷暖房する設備を使用するものと、床暖房のように輻射熱を利用する設備を使用するタイプがあります。より細かく分類すると更にタイプはわかれますが、基本的にはどちらかのタイプであり、大多数はエアコンのような設備を使用するタイプになります。
一般的なメリットとデメリット
全館空調の主なメリットは、家全体が快適な温度に保たれることや、各部屋ごとにエアコンを設置する手間が省けることです。さらに、エネルギー効率が高いため、個別エアコンを使用するよりもランニングコストが抑えられる場合があります。一方で、デメリットとしては初期費用が高いことや一定以上の住宅性能が必要である点です。
全館空調・エアコン・24時間換気の違い
全館空調、エアコン、24時間換気は、それぞれ異なる役割を持つ設備です。よく間違えられるのは「全館空調が換気機能も担っている」という点です。違いを理解することでより最適な空調管理ができるようになります。ここでは、それぞれの特徴や違いを詳しく見ていきます。
24時間換気との違い
全館空調と24時間換気の主な違いは、目的と機能です。全館空調は主に温度調整を行うシステムで、家全体を快適な温度に保つための「冷暖房システム」です。一方、24時間換気は、外の新鮮な空気を取り入れて家の中の空気を排出し、空気を清潔に保つための「換気システム」です。
一般的な全館空調では室内の空気を循環させますが、外に空気を排出したり取り入れることはしません。あくまで換気は24時間換気で行います。※一部の全館空調システムでは、換気機能も一体型になっている設備もあります。
エアコンとの違い
エアコンは、特定の部屋や空間を冷暖房するための設備ですが、全館空調は家全体を冷暖房するための設備です。全館空調では、間取りや空気の流れなどを計算することで、エアコン1台で家全体を冷暖房するシステムもあります。全館空調では効率的に家全体を冷暖房できる一方、エアコンは個別に温度管理できる柔軟性があります。
全館空調とゴキブリ発生の関係
全館空調システムがゴキブリの発生にどのように影響を与えるかは、多くの住宅所有者にとって気になる点です。全館空調は、空気の流れや湿度を一括して管理できるため、ゴキブリが好む環境を作り出す可能性もあれば、逆に予防にもつながる場合があります。このセクションでは、全館空調とゴキブリ発生の具体的な関係について説明します。
全館空調とゴキブリの侵入経路とは
全館空調は、夏も冬も全ての部屋を一定の温度に保つことができるため、ゴキブリが好む25~30℃で室内を保ちやすくなります。また、エアコンのような設備を使用するため、ドレンホース等からサイズの小さなタイプであれば侵入してくる可能性があります。このため、全館空調でゴキブリが入ってくると言われています。
但し、これはエアコンを設置している住宅にも言えることで、設置台数が多いほどリスクがあり、更に一般的な住宅では窓を開閉するため気づかないうちに侵入されるリスクがあります。その点において、全館空調の空調設備は1台から多くても2台、さらに窓の開閉による温度管理や空気循環を前提としていませんので、むしろ侵入リスクが低いと言えます。
また、一般的な全館空調のダクトや風道はあくまで室内の空気を循環させるものであり、外と接続されていないため侵入経路にはなりません。そのため、一般的な住宅と侵入経路は同じ、むしろエアコンの設置が多い住宅と比べて少ないと言えます。
※エアコンの室外機から侵入すると言われていますが、破損等がない限り室外機から住宅内に繋がることはありません。また、エアコンと室外機を結ぶ配管も周辺を埋めているパテや外壁に亀裂が入るなどが無ければ住宅内に繋がることはありません。
ゴキブリが好む空気と全館空調の空気の流れ
ゴキブリは60%以上の湿度、特に湿度75~100%を好み、気温は18℃から活発になり、25~30℃で最も活発になるとされています。反対に、気温15℃以下では動きが鈍り、35℃以上で動けなくなり、40℃を超えると死滅すると言われ、乾燥にも弱いとされています。
全館空調は、基本的にダクト内や風道を通じて常に空気が循環しているため、それだけで湿度を抑えることが可能です。エアコンなどの冷房は使用するだけで一定の除湿機能があるため、夏でも湿度を抑えることが可能です。
また、エアコンのようなシステムを使用する場合、冷房は室内の空気から10℃前後低い冷風を出すため、ダクトや風道内は室温よりも低くなります。反対に暖房では、40℃以上の温風を出すため死滅する温度に達することになります。
全館空調では家全体でこれらが行われるため、一般的な住宅よりもゴキブリが活動しにくい環境がつくられると言えます。
全館空調と室内環境
ゴキブリが好む環境と、カビが発生する環境はかなり似ています。カビは、湿度60%を超えると発育し、温度は20~30℃で最も育ちます。カビはゴキブリの大好物であるため、カビを発生させない環境づくりが大切です。
カビの発生でポイントになるのは結露です。結露は温度差と湿度が大きく関係し、湿度が高ければ温度差がほとんどなくても結露し、反対に湿度が低くても温度差が大きいと結露します。全館空調の場合、室内で温度差はほとんどありません。更に、常に空気を循環させるため湿度も抑えることができます。そのため、一般的な住宅よりも結露を起こしにくく、カビが発生しにくい環境であると言えます。
全館空調と個別エアコン|虫に遭わずに済むのはどっち?
全館空調と個別エアコンでは、全館空調の方が虫に遭わずに済みます。全館空調では、エアコンのように外部と接続されるのは1~2カ所程度ですが、個別エアコンは設置台数の分だけ外部と接する部分が増えます。エアコンを一切つけない場合はエアコンの方が虫に遭わずに済みますが、設置していない住宅の方が少ないのが現状です。
ゴキブリの侵入経路とその原因
全館空調はゴキブリや虫が家の中に入りやすいのか?
全館空調自体がゴキブリや他の虫を引き寄せるわけではありません。どのお家も同じく、エアコンのドレンホースや換気口が適切にメンテナンスされていない場合、これらが侵入経路になる可能性があります。防虫フィルターや定期的な清掃を行っていれば、全館空調がむしろ虫の侵入を防ぐ手助けをすることができます。
換気口はゴキブリの侵入経路になるのか?
適切なメンテナンスがされていない場合、侵入経路になる可能性があり、換気の種類によってその可能性は異なります。
換気システムには、「第一種換気」「第二種換気」「第三種換気」の3種類あり、外の空気を取り入れる「給気」と室内の空気を外に出す「排気」を機械で行うか、自然に行うかで違いがあります。第一種換気は、給気・排気共に機械で行い、第二種換気は、給気を機械、排気を自然排気、第三種換気は、給気を自然給気、排気を機械で行います。
住宅で主に使用されるのは、「第一種換気」と「第三種換気」で、第一種換気では外部と繋がる給排気口は1箇所ずつですが、第三種換気では給気口が各部屋だけではなくリビングなど多くの場所に設置されます。そのため、劣化等により隙間から入る可能性は第一種換気よりも高いと言えます。
住宅の隙間
大前提として、住宅に隙間が多いとその分ゴキブリだけではなく他の虫の侵入経路にもなり得ます。そのため、建築時点から気密性を重視することが一番重要とも言えます。全館空調のみならず、予め気密値の目標を提示してもらい、気密測定を実施した上で住宅を検討した方が良いでしょう。
住宅のメンテナンスとゴキブリ防止
換気システムのフィルターには、外部からのホコリや虫、ゴキブリが侵入するのを防ぐ役割があります。しかし、定期的に清掃しないとフィルターが詰まり、空気の流れが悪くなり、結果として湿気がこもってしまいます。湿気の多い環境はゴキブリの繁殖を促すため、少なくとも半年に一度のフィルター交換や清掃が推奨されます。
エアコンを設置している場合、ドレンホースに虫の侵入防止のキャップを取り付けるなどしましょう。また、室外機から室内に繋がる配管周辺のパテに亀裂はないかなどを定期的に確認し、隙間がないようにしましょう。
よくある質問
全館空調の欠点は何ですか?
全館空調の主な欠点は、初期導入コストが高い点です。また、フィルターやダクトの定期的なメンテナンスが欠かせないシステムもあり、その維持費用も考慮する必要があります。さらに、全館空調は家全体を一括管理するため、個別の部屋ごとの温度調整が難しい場合があります。
全館空調の寿命はどのくらいですか?
全館空調システムの寿命は、通常15〜20年ほどです。適切なメンテナンスを行うことで、システムの寿命を延ばすことが可能です。特にフィルターの定期交換や、ダクト内の清掃を怠らないことで、性能を長く維持できます。但し、システムによって大きくことなるため事前の確認が重要です。
全館空調は窓を開けなくていいですか?
全館空調システムは、基本的に家全体の空気を循環させ、換気を行うため、窓を開ける必要がないと言われています。また、新築では24時間換気機能が備わっているので、外気を取り入れながら新鮮な空気を供給し、内部の汚れた空気を排出することができます。
全館空調は電気代にどのくらい影響しますか?
全館空調の電気代は、家の大きさや地域、システムの性能、使用頻度によって異なりますが、一般的には個別エアコンを複数台使用する場合に比べてコストが抑えられることが多いです。特にエネルギー効率の高いシステムを選べば、電気代が最適化され、家全体を均一に冷暖房できるメリットがあります。
床下暖房はゴキブリを発生させますか?
床下暖房自体がゴキブリを直接発生させるわけではありませんが、湿気がこもりやすい環境を作ってしまうと、ゴキブリが繁殖しやすくなる可能性があります。特に、床下に十分な換気が確保されていない場合や、暖房システムが適切に設置されていない場合は、湿気が溜まりやすくなり、ゴキブリの温床になることがあります。
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