【札幌市】住宅市場のまとめと今後の見通し
札幌市における住宅市場について
この数年で札幌市における住宅市場が大きく変化したのはご存知の方も多いと思います。
土地が高くなって、新築価格も上がり、その結果中古住宅の価格も上がることになり、5年前と比較すると大きな差となっています。
「そもそも何で高くなったの?」
「ウッドショックの影響は終わったんじゃないの?」
「2023年はどうなるのだろう?」
など、色々疑問に思うこともあると思いますので【札幌の2022年住宅市場のまとめ&2023年の予想】について投稿していきます!
目次
1.土地価格について(2022年)
2021年から2022年にかけて急激に土地価格が上がったという印象を持つ人もいるかもしれませんが、実は平成25年(2013年)から目に見えて上がっており、平成29年からは大幅に上昇し続けています。
理由① 東京オリンピック開催決定&ホテル需要による商業地の価格上昇
日本に来る外国人旅行客が増え北海道・札幌への旅行客も比例して増加していた最中、東京オリンピックの開催が決定したためホテル需要が増加し、元々札幌の商業地は他の都市圏と比べて低かったこともあり一気に開発が進みました。その結果、2013年から2019年までの間でホテルの数は倍に増え、街中を基点に商業地の価格が高騰していき2013年と比較して2022年は56%も価格が上昇しています。
理由② 札幌市の人口増加
札幌市の人口は堅調に増え続けており、人口増加に伴う住宅需要の高まりから新築戸建住宅のみならず、マンションやアパートなども増え続けた結果、平成10年から30年までの間に20万戸以上の住宅が建築されました。その影響により、住宅を建築できる土地が少なくなり今まで人気のなかったエリアに住宅が建てられるようになり、商業地の価格上昇も伴って利便性の高い人気エリアを中心に住宅価格が上昇しました。その結果、5年前の平成29年(2017年)から40%以上も住宅地の価格が上昇しています。
2.建物価格について(2022年)
この数年で建物価格が一気に高騰しましたが、これにはいくつか理由があります。
理由① ウッドショック
知っている人も多いかなと思いますが、ウッドショックが建物価格の高騰に大きく影響しました。ウッドショックの原因はいくつかありますが、遡るとリーマンショックから影響しています。
一、リーマンショックの影響によりアメリカの製材所が激減
二、山火事や害虫の影響により商品化できる木材が大幅に減少(アメリカ・カナダ)
三、中国において産業用木材の需要が増加
四、コロナの影響によりネットショッピングの増加&物流コンテナの人員不足により供給網が混乱
五、コロナの経済対策や在宅勤務の増加によってアメリカ・中国で住宅需要が高まる
木材の供給に不安があったタイミングで木材需要が高まり、供給網も混乱した結果「ウッドショック」を招いたということになります。また、円安が木材価格に追い打ちをかけた結果となります。
理由② 資材高騰
木材だけでなく、住宅設備や建材などほぼ全てが高騰している状況です。こちらも理由がいくつかあります。
一、コロナによって工場閉鎖や人材不足が相次ぐ
二、商品不足が相次ぐ中、ウッドショックと同様に供給網が混乱
三、ロシアによるウクライナ侵攻が始まり、経済制裁としてエネルギー輸入の脱ロシア化が始まる
四、脱ロシア化によって化石燃料の競争が激化し、エネルギー価格が高騰し生産コストや物流コストも上昇
五、アメリカのコロナ対策等の影響により円安が進み、価格高騰に更なる追い打ちをかける
このように、木材だけでなく設備や建築資材など多岐にわたり高騰を招く結果となりました。
3.2023年の見通し
2023年の見通しは結構難しいものになるかと思いますが、各業界の関係者や専門メディアで伝えられていることをベースに個人的見解も交えてお伝えしていきます。
【2022年の予備知識】
見通しの前に、少しだけ2022年の住宅業界に関する予備知識をいくつかご紹介したいと思います。
①持家戸建の着工棟数が減少
土地と建物の価格高騰、さらにエネルギー問題や物価上昇の影響から2021年と比較して住宅需要が鈍化し、持家戸建の着工棟数が大幅に減少しました。(簡単に言うと注文住宅を建てる人が減少しました)
②建売住宅の在庫物件が激増
新築建売住宅の在庫物件(未入居で売れていない物件)が増加し、札幌市内で1年間に成約となる物件数とほぼ同程度の物件が売れ残っている状態となっています。つまり、今後新しく新築建売住宅が建てられなくても在庫物件がなくなるまで約1年掛かるということになり、過剰供給の状態となっています。
③建築条件付きの土地が一般販売
注文住宅を建てる方が減り、建売住宅の売れ行きも悪いため、住宅会社は自社が所有している土地を持て余すことになり、販売していた「建築条件付きの土地」は売れずに身動きが取れない状態が続きました。そのため、建築条件付きの土地は建築条件を外して一般販売されるケースが昨年後半になるにつれて増えてきました。
これらのことを背景に、2023年がどのようになるのか見ていきましょう。
【土地価格】
土地価格:価格下落に向かうが依然として高い水準に留まる
昨年の住宅市場の状態を考えると、金融機関や専門紙などでは土地価格は下がっていくと予想する声が多く、実際に不動産仲介会社も土地価格の積極的な値下げを始めているとのことでした。
土地価格の下がり方は立地や土地面積、土地形状などによって異なり、
①これまであまり売買されてこなかった不便な土地(この数年で活発に売買された土地)
②旗竿地や狭小地(接道幅が2~4m程度の旗竿地や極端に狭い土地)
③不便な立地(駅から遠い、商業施設が周辺にない等)
上記①が一番価格の下落が大きく、②・③と続いていきます。注文住宅や建売住宅の着工数が減り続けると、数年前までは売買の対象として見られることが少なかった上記①・②については価格が大きく下がり始め、着工数が回復傾向になければその影響は③にも早い段階で波及していくと思われます。(既に影響は出ています)
反対に、利便性の高い土地(駅から近い、複数の商業施設が近くにある等)や年間の販売件数が少ない人気のエリアなどは過剰な値上げ分価格が下がることも考えられますが、大きく下落しないと考えられます。
そして下落はする一方で高い水準であると予想される理由として、「住宅用地の多くが個人資産であること」「住宅会社による土地の買い付け」があることの二つが要因として挙げられます。
住宅用地は個人資産であることが多いのですが、
①基本的に土地の所有者で売却を急いでいる人はそれほど多くないため、相場などを踏まえながらも「希望価格」や「相場+α」の価格から販売を開始して少しでも高値で売却を目指す傾向にある。
②不動産仲介会社は媒介依頼(売却の仲介・販売依頼)を受けることを重要視しており、低い金額の査定・販売提案をした場合、他の不動産会社に媒介依頼されてしまうリスクがあることから、希望価格や相場+αから販売開始の提案を売主に行う傾向にある。
③多くの土地所有者にとって、大幅に価格を落としてまで売らなければいけない理由がない。
ということに加え、これまで大手ハウスメーカーなどに多く持ち込まれていた土地情報が、中小メーカーや工務店などにも持ち込まれるようになっており大手メーカー以外が土地購入を始めていること、更に販売が長期化している土地や売却を急いでいる所有者から安く購入する動きも加わることで、価格の下落が目につきにくい状態になることが予想されます。
これらのことから、「2023年の土地価格は下落に向かい、立地や土地の形状などによって価格差が大きくなる一方、全体的には高い水準に留まる」と思われます。
【建物価格】
建物価格:高い水準を維持する
仮にウクライナ侵攻が今年中に終わりを迎えた場合でも侵攻による諸問題の完全な解決に至るとは考えにくく、さらにウクライナ復興に対して資材等が集中的に供給されることが予想されます。そのため、エネルギー問題による生産・物流コストの上昇が高い水準で維持されるとみられ、建築資材の高騰は続くものと考えられます。また、当初よりウッドショックの影響は軽減されている一方で高値購入による在庫が卸問屋でストックされていることや木材価格が未だ高い水準にあることを考えると木材価格が急降下するとも考えにくい状況です。
また、札幌で言えば2022年の持家戸建の住宅着工数が減少し回復の兆しが未だに見えない2023年は、問屋等との交渉や建売住宅の着工により価格上昇を抑えてきた住宅会社にも限界が訪れ、価格を上げざるを得ない会社も増えてくると思われます。
一方で、昨年後半に比べて円高水準になることが予想されるため、更なる高騰に繋がる問題が発生せず、多少の影響であれば大幅な建築資材高騰には繋がらないのではないかと考えられます。
これらのことから、一部住宅会社では値上がりが予想されるものの、全体的には大きな値上がりはなく高い水準を維持するのではないかと思われます。
現段階では見通せないことも多いですが、少なくとも今年中に大きく好転するような感じではないと思います。また、来年以降はさらにどうなるか予測がつきません。
今年の4月以降は住宅ローン金利が上昇するのではないかという点も踏まえて、近い将来住宅を検討しようと思っている方は、この時期に一度検討してみた方がいいかもしれませんね!
【株式会社 住宅日和】
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