【勝手に大討論!】東京都の太陽光発電の義務付けについて
みなさんこんにちは。
天気が悪い日が続いていますね~
こんなときは「太陽光発電の発電量」が減ってしまいますね~
そういえば先日から、
「新築住宅に対する東京都の太陽光発電設備の設置義務付け」が話題になっていますね!
実は前々から気になっていたのですが、いつの間にか世間で大きな話題となっていてびっくりしました。(笑)
色んな情報があり整理がついていない人も多いと思いますので、少しまとめてお伝えしようと思います!
1.そもそも何の話?
「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」が改正が予定されており、
その中に「住宅等の一定の中小新築建物への太陽光発電設備の設置等を義務付ける新たな制度の創設」
という内容があり、これが大きな話題となっています。
2.内容は?
簡単に言うと、
「住宅を新築するときには太陽光発電設備を設置してください」ということですが、
この義務は「住宅供給事業者(住宅会社など)」が負うことになります。
住宅供給事業者は年間で供給する総延床面積が20,000㎡以上の事業者が対象となっており、
その数は50社、供給数のシェア53%、年間棟数でいうと約22,800戸となっています。(2019年値)
ちなみに、どれくらい太陽光発電設備を設置したらよいかというと、
供給数 × 85%(※設置可能率) × 2kW/棟 = 義務量
とされており、
仮に供給数が300棟の場合だと、
300棟 × 85% × 2kW/棟 = 510kW
となり、この分の太陽光発電設備の設置が業者の義務となります。
住宅における一般的な太陽光発電設備は4~4.5kWと言われており、
全て4~4.5kWを付けた場合だと約110~130棟分(供給数の約36~43%)に相当するのではないかと思います。
※設置可能率とは、太陽光発電設備の設置に適している建物の割合が都内平均約84.9%という
ことから算出された数値です。
3.何が問題視されているの?
「住宅会社の義務と言っても、価格が高くなるから結局は買う側の負担」
「維持メンテナンス費掛かる」
「そもそも東京なんて土地が狭くて発電量に期待できない」
「太陽光パネルの廃棄を考えたらエコじゃない」
というよう意見が見られます。
というような感じですが、調査してみた結果色んなことがわかりましたので、
勝手に「賛成派」と「反対派」にわかれて議論していきたいと思います。(笑)
名付けて、
「勝手に大討論!東京都における太陽光発電の設置義務化問題!!」
では早速いきましょう。
第一弾 【設置費用の負担について】
■問題点
設置は住宅会社の義務にはなりますが、住宅会社が無料で太陽光発電設備を設置するということは考えにくいため、結果的には購入者・建築主様の負担になることが考えられます。
□賛成派
「東京ゼロエミ住宅」の助成事業が行われており、基準に該当した場合には性能水準に応じて助成金が支払われます。また、太陽光発電設備を設置した場合には追加で補助されるので、活用することで負担を軽減することが可能なので、そんなに負担にはならないと思いますよ。
□反対派
そもそも基準に適合させるために住宅性能を上げる必要があるから費用が掛かるし、太陽光発電に対する補助なんて1kWあたり10~12万円で4kWだと40万円だぞ?
太陽光発電の設置費用について、東京都は4kWで約92万円と言っているが経産省の発表では約112万円になると言っているし、東京みたいな狭小地だと余計に費用が掛かることは想像できるし言うほど負担の軽減にはならない。
もっと言うと、その補助事業の今年の予算は108億円で、補助が受けられる最低水準の性能だと30万円の補助、あと太陽光の40万円を合計した70万円の補助で考えても、予算内で対象となるのは15,428戸分で、義務化によって設置される予想住宅数が19,380戸※1なんだから、全然足りてないじゃないか!
※1 設置義務対象事業者の総供給戸数22,800戸に設置可能率85%を掛けた数字
第二弾 【維持メンテナンス費について】
■問題点
太陽光発電設備は設置して終わりではなく、定期点検や設備更新が必要となります。その費用負担は事業者ではなく所有者になります。
□賛成派
太陽光発電を設置することで、月々の電気代が安くなるのだから設置費用どころか、維持費まで考えても安いですよ。東京都の試算だとこんな感じで安くなりますからね。
仮に30年間で考えると、2,268,000円もお得なんですよ!
設置費用やメンテナンス費用を考えても十分お得じゃないですか!
売電価格:3,800円 × 10年 = 456,000円 / 1,700円 × 20年 = 408,000円 合計 864,000円
売電を除く電気代:6,100円 × 10年 = 2,196,000円 実際に掛かる電気代:2,196,000円 - 864,000円 = 1,332,000円
太陽光発電がない場合の電気代:10,000円 × 10年 = 3,600,000円 差額 2,268,000円
□反対派
確かに、点検やパワコンの交換を含めた維持費の試算は1kWあたり約3,690円だから、30年間で110,700円、4kWでも442,800円、設置費用は経産省の試算112万円から補助が70万円で考えると約42万円、30年間の設置と維持費の合計で862,800円だから、1,405,200円もお得だということは分かった。
でもな、太陽光パネルの寿命なんて不透明で確かな数字はないし、寿命は20~30年とも言われているんだ。もし仮に新たに設置したら100万円以上掛かるだろうし、既存のパネルを処分する費用だって掛かる。
あと、屋根のメンテナンスや工事の時にはパネルを外さなきゃいけない場合だって考えられるし、最終的にパネルを付けないとなれば屋根などの補修費用は掛かる。
計算上はお得に見えるかもしれないが、不確定な要素や想定数値が多すぎて、本当にお得かどうかは考えれないし、そもそも想定通りに発電できなければ意味がないじゃないか!
第三弾 【太陽光発電の効率】
■問題点
東京都では、一般住宅における土地は狭い上に隣接する建物との距離も近く、高層建物も多いことから太陽光発電が効率よく行えるのか疑問視されている。
□賛成派
安心してください。しっかり調べています。23区を含めた東京都内で、太陽光発電設備1kWあたり1,100kWh以上発電できる日射量を確保できる建物は既に全体の約85%あります。つまり、現在の状況でも85%以上の建物はそれだけの発電ができる日射量を確保できているということです。
懸念はされると思いますが、発電ができることは証明されており、難しい場所もあることを想定した上で業者への義務量も85%としているのです。
□反対派
ちょっと待ってくれ!その計算は明らかにおかしい!その計算では住宅以外の用途の建物も含まれているだろう!!商業施設も含んでいるし、公園や運動場、畑も含んでいる計算じゃないか!
もっと言えば東京都だけでなく、一般の住宅の屋根で、屋根面積が60㎡を超える建物なんか一般的ではないのだから、その辺りも考慮して計算しないと成り立たないだろう!
ちゃんと計算したら、こんな感じで適合する場所なんか85%もないじゃないか!!
同じ住宅地同士で比較しても約70%、全体の建物と比較したら約44%しか適合地がない結果になっているということは、そもそも適合する建物(=場所)が少ないのだから、とてもじゃないが東京都の試算通りに発電できないのは明らかじゃないか!!
第四弾 【太陽光発電設備の廃棄問題】
■問題点
太陽光パネルの大量廃棄の時代を控え、義務化により益々加速するのではないか、また廃棄の際に発生するCO2の排出や埋め立て地の問題等、解消すべき課題がある。
□賛成派
東京都は、「2018 年から学識経験者等で構成する検討会を実施し、現状の使用済太陽光発電パネルのリユース・リサイクルに関する課題、都内の特性を踏まえた取組の方向性の整理を行ってきており、今後とも、リユース・リサイクルの高度化に向けた方策について検討が必要である。」と言っていますし、まだまだ住宅用の太陽光パネルの歴史自体が浅いので、これから適切な方法を考え実施していくことが必要だと思いますよ。
それに、太陽光パネルの90%はリサイクル可能な部品ですし、既に80%近くはリユースされていると発表になっていますので、より管理・促進を図ることで廃棄の問題は解決されていくと思います。
□反対派
そのリユース・リサイクル率も、費用が高くなるため実際は埋められているのではないかとの報道もあるので、実態はわからないと思う。
【最後に】
いかがでしたでしょうか?
一応双方の立場に立ち、どう答えるかというのを調査の結果に基づいて記載してみました。
パブリックコメントの募集も始まり、これから色んな意見をもとに問題を解消していくのであろうと思います。
今回は、賛成・反対というのは特に記載しませんが、色んな問題は解消しながら良い方向に向かえばいいなと思っています。というのも、これは東京都だけでなく将来全国的に同じような条例案が上がってきても不思議ではないので、他人事ではなく思っています。
引き続き注視して、発信できることがあればまたこちらでお伝えします!
参考記事等
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)の改正について
東京都太陽光現況調査
東京都太陽光発電設備現況調査
東京都助成制度
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/home/tokyo_zeroemission_house/jyoseiseido.html#cmsA0A0E
東京ゼロエミ住宅
調達価格等算定委員会